風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

エコ・ポイント

2010-08-19 01:39:30 | 時事放談
 円高傾向はここ暫く変りそうにありません。お陰で海外に残したままの豪ドル預金もマレーシア・リンギッ預金も、なかなか国内に呼び戻せそうにありません。日本経済のファンダメンタルズはそれほど良くないのに、何故、このような円高傾向が続くのか。昨日の日経では、欧米が、財政・金融政策を使い果たし、通貨切り下げの為替政策に踏み込んだと解説していました。それに対して、市場では日本政府・日銀の無策批判が渦巻いている、と。確かに欧州ではギリシャ以外にも財政悪化懸念の国々が控え、先行きに不安がありますし、ここに来てアメリカの景気にも減速懸念が出て、消去法的な理由で円が買われている(今朝の日経の三井住友銀行頭取発言)にも係わらず、見守ることしか出来ていない状況は、理解できなくもありません。
 そのせいで、日本の景気の腰折れ懸念もあり、テコ入れのため、政府では経済対策の検討が始まっています。財源に話題が及ぶと、国債の追加発行は避ける方針なのは良いとして、また2010年度予算の経済危機対応・地域活性化予備費の未使用分を使い回すのも良いとして、どうして2009年度決算の剰余金を活用するという話になるのか、経済音痴の私には俄かに解せませんが、それもまあ良いとして、必ず景気刺激策として出てくるのが、12月末に終える予定のエコ・ポイント制度の延長で、こればかりはどう考えても理解に苦しみます。景気刺激のためとは言え、同じ金を使うにしても愚策の部類に入るだろうと思います。
 かつて中国の故事で、人に魚を与えれば一日食い繋いで終わるだけだが、魚の捕まえ方(釣り)を教えれば一生食べて行ける、といった含蓄のある内容のものを聞いたことがあると思います。老子の言葉「授人以魚、不如授人以漁」とされ、まさに北欧の福祉政策は、もはやただのばら撒きではなく、自立を支援する方向に舵を切っていますし、意味のある公共事業投資は、将来にわたって維持・運営の需要を産みます。ところがエコ・ポイントは、買い替え需要を一時的に刺激するものの、需要の先食いに過ぎなくて、その後には必ず反動が来るものです。エコ・ポイントにたぶらかされて通常より早めに買い替えた家電製品は大事に使おうと思うのが庶民の感覚であり、買い替え自体はそうそう続くものではないからです。
 こうした視点で民主党の政策を点検して見ると、余りに場当たり的な魚のバラ撒きが多いことに気づきます。どれもこれも賢い投資という網に引っかかって来ません。中国の面白さは、2500年前に既に文明の極に達しながら、その後は低下するばかりであることでしょう。日本人だって、魚をバラ撒くばかりでは、先が思い遣られるのですが・・・。
コメント
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