オザワさんと言っても、政治とカネの小沢さんではなく、指揮者の小澤征爾さんの話です。1月に食道癌を公表し、食道を全摘する手術を受けて療養されていた小澤さんが、復帰されたニュースが流れていました。かなりやつれて見えましたが、張りのある声で「今日は第二の人生の一日目」だと語り、ラグビーのスクラムにたとえて家族が支えてくれたことに感謝し、涙ぐまれていたのが、なんとも印象的でした。また、つい最近、同じ食道癌による療養を公表したサザンオールスターズの桑田佳祐さんに対して、「絶対、大丈夫。医学は発達しているから」と語り、「人間ドックは大事」だと早期発見の大切さを訴えて、お茶目なところも見せておられました。
タングルウッド音楽祭に行ったことがあります。ボストン滞在の最後の夏のことなので、今から13年前、1997年のことです。
車で2時間以上かけて辿り着いた会場は、東西に細長いマサチューセッツ州の西の外れの、レノックスという小さな町の、しっとりと緑に包まれた森の中にありました。当時、小澤さん指揮するボストン交響楽団が身近にあっても、三歳の男の子をベビーシッターに預けてまで聴きに行くのはためらわれていた私たち日本人夫婦でも、この音楽祭では、芝生席で、ピクニック・マットを敷いて、子供と一緒にお弁当を広げながら、世界の小澤さんの音楽に耳を傾けることが出来ました。同じようにピクニック気分を楽しむ家族連れや、静かに語り合う若者たちが、そこかしこに見られます。目の前には、折りたたみ椅子を持ち込んで、ワイン・グラスを傾けながら、静かに物思いに耽る老夫婦が。二人の脳裏をかすめていたのは、何十年も遠い昔の若い二人の姿だったのかも知れません。思い思いに音楽に身を委ね、夏の日の昼下がりのひとときを楽しむ、なんと贅沢な時間でしょう。
アメリカの豊かさを、つくづく思い知らされた一日でもありました。
タングルウッド音楽祭に行ったことがあります。ボストン滞在の最後の夏のことなので、今から13年前、1997年のことです。
車で2時間以上かけて辿り着いた会場は、東西に細長いマサチューセッツ州の西の外れの、レノックスという小さな町の、しっとりと緑に包まれた森の中にありました。当時、小澤さん指揮するボストン交響楽団が身近にあっても、三歳の男の子をベビーシッターに預けてまで聴きに行くのはためらわれていた私たち日本人夫婦でも、この音楽祭では、芝生席で、ピクニック・マットを敷いて、子供と一緒にお弁当を広げながら、世界の小澤さんの音楽に耳を傾けることが出来ました。同じようにピクニック気分を楽しむ家族連れや、静かに語り合う若者たちが、そこかしこに見られます。目の前には、折りたたみ椅子を持ち込んで、ワイン・グラスを傾けながら、静かに物思いに耽る老夫婦が。二人の脳裏をかすめていたのは、何十年も遠い昔の若い二人の姿だったのかも知れません。思い思いに音楽に身を委ね、夏の日の昼下がりのひとときを楽しむ、なんと贅沢な時間でしょう。
アメリカの豊かさを、つくづく思い知らされた一日でもありました。