風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

サイバー攻撃

2013-09-15 11:51:52 | 時事放談
 警察庁やIPA(独立行政法人・情報処理推進機構)から、標的型サイバー攻撃に対する注意喚起が出ているそうです。
 9月18日は、満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が発生した日で、中国では、日本からの侵攻を許した屈辱の日とされるため、中国の掲示板では、この日の前後に、日本に向けたサイバー攻撃を呼びかける書き込みが増加し、実際に、官公庁や企業を狙った攻撃が多数発生することで知られています。こうした日本へのサイバー攻撃が常態化したのは、3年前からのようです。あの、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船と衝突し、中国漁船・船長が公務執行妨害容疑で逮捕された事件があった年です。さらに昨年は、尖閣諸島国有化問題があって、こうしたサイバー攻撃は急増したそうです。そして今年も、標的型攻撃メールで遠隔操作型のウイルスが送られてくる兆候があった上、特に今年は、ハッカー集団が日本と関係がある組織を片っ端から無差別に攻撃するよう呼びかけている節があり、従来の官公庁を中心としたものから、独立行政法人や公益法人、財団法人、一般社団法人、NPO法人、さらには大学や病院、一般企業、個人などへ対象が一気に拡大することが懸念されているそうです。
 攻撃手段は主に二種類あって、1つは、ツールなどを使って大量のリクエストを送り付けてWebサーバを麻痺状態に陥れるDoS攻撃やDDoS攻撃と言われる、いわば業務妨害で、Webページの閲覧が困難になったりするもの、もう1つは、抗議活動のアピールやウイルスの配布、情報窃取などを目的としたWeb改竄、なのだそうです。いずれにしても、不審なメールを受信したら、添付ファイルは開かない、メール本文のリンクもクリックしない、というのは当たり前のことですが、最近は手口が巧妙で、つい開いてみたくなるような手の込んだものが多いそうですから、注意したいものです。
 こうした記事で中国共産党の関与に言及するものは(外交的配慮からか)ありませんが、9月18日に限らず、上海郊外に拠点をもつ中国人民解放軍の部隊「61398」によるサイバー攻撃が常態化しているのは周知の通りであり、米中首脳会談でアメリカが、サイバー攻撃による軍事技術の流出や産業界の知的財産権被害に強い懸念を表明したことに対して、スノーデン事件で一矢報いたかのように見せたのもまた、中国の所謂「対外宣伝工作」の一つと見て間違いないのでしょう。
 中国に関しては、つい最近も、8~9日にかけて、尖閣諸島周辺で無人機を飛行させ、爆撃機と艦艇を沖縄本島と宮古島の間を通過させましたし、昨日の午前中には、中国海警局の船4隻を領海侵入させ約4時間半にわたり航行させましたが、中国当局の船による領海侵入は、尖閣国有化後、計64日に達したと、こちらも常態化しています。中国軍関係者によれば、中国軍の仮想敵として「北のソ連と南の台湾」の時代が長く続き、最近は昨年の日本による尖閣諸島国有化問題で、「日本の自衛隊が中国軍の最大の仮想敵になりつつある」と物騒なことを言いますが、軍という組織の存在証明として、また中国を取り巻く国際環境の変化の中で、ある意味で当然の反応だとは思います。
 いずれにしても、官民あげて組織的に、陰に陽に攻撃の手を緩めない中国の在り方は、現代の国際社会にあっては極めて異常であり、それは中国という国のなりたちの異常に基づくもので、今さら驚くことではありませんが、敢えて今の関心事を述べるならば、こうした異常が(つまり中国と言う国を成り立たしめる条件の無理が)いつまで続くのかというところです。
コメント
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