風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

戯画的な

2013-09-28 13:36:23 | 時事放談
 世間ではTVドラマ・半沢直樹シリーズが人気だったようで、ドラマは見なかったのでせめて小説「オレたちバブル入行組」(文春文庫)を読んでみました。なるほど面白い。「基本は性善説。やられたらやり返す、倍返しだ。」という主人公の流儀がすっかり有名になって、「倍返し」は今年の流行語大賞の有力候補になりそうな勢いですが、本来はプラスの「お礼」で使う「倍返し」がマイナスの「報復」で使われるあたりは、若い人には受けるかも知れませんが、やや品がないと思うのはオジサンの証拠でしょうか。そういう意味で、思い入れはいまひとつですが、現代版「水戸黄門」、はたまた「当山の金さん」のような「お決まり」のパターンは、東野圭吾さんの「ガリレオ」でもお馴染みで、安心させます。
 こうした戯画的な組み立てが、しかし現実に、ごく身近に見られるとすれば驚きです。安倍総理に対する中国や韓国の反応など、まともにとりあうのはばかばかしく、安倍さんもよほど腹に据えかねていたと見えて、日本を離れ、地球の裏側のハドソン研究所やNY証券取引所を訪問したときに行った演説では、珍しく弾けて見せました。日本の防衛費の伸びが中国の10分の1以下であることを指摘し、「(それでも)もし私を右翼の軍国主義者と呼びたいのならどうぞ」と中国や韓国を挑発しました。こうして安倍さんが意気軒昂なほど、中・韓は生真面目に噛みついたりいきり立ったりするのが、なんとも可笑しい。産経新聞は、「安倍首相にとっては『余裕のユーモア』だったが、“安倍たたき”に熱を上げる韓国メディアには相変わらず余裕はないようだ」と、冷めた目で伝えていました。
 中・韓の反日の姿勢は、戯画的です。石平さんは、天安門事件で失墜した中国共産党の権威や信頼を取り戻すため、イデオロギーとしての「愛国主義」を取り入れるとともに、日本を「悪」に仕立てあげ(つまり国内の政府攻撃を外=日本に向けさせ)、ために歴史を捏造し、反日教育を展開するに至ったものだと解説し、呉善花さんは、日本統治時代への恨みが韓国人の反日の根拠になっているのではなく、それはあくまで結果で、日本民族の野蛮で侵略的な資質に原因を求めるものであり、華夷秩序の世界観のもとで、中華世界の中心にある中国とその忠実な臣下だった朝鮮半島諸国として、日本という国を千数百年にわたって「その周辺の感化・訓育すべき対象としての侵略的で野蛮な夷族」と見なしてきた、侮日的な民族意識が反日の根本にあると解説しておられました(「売国奴」(ビジネス社))。隣人としての自然な感情ではなく、なんと大時代的で取り繕った「お決まり」の関係であることか。
 二ヶ月程前、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが実施した各国の好感度調査によると、日本に「非常に悪い印象を持っている」と答えた人は中国で74%、韓国38%、「あまり良くない」印象があるとの回答と合わせると、中国で90%、韓国で77%に達したと報じられました(日本で中・韓を相手に同様の調査をすると、それ以上の回答になるでしょう)。中国人によると、日本は覇権的で軍国主義的なのだそうですが、反日教育の面目です。こうしたイデオロギー国家を相手にするのは、イデオロギーとは縁が薄い自然の国・日本には、なかなか大変なことだと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする