前回ブログの続報になるが、安倍首相は、翌17日、日テレのインタビューにも応じたようだ。やはり外交失点と受け取られかねないことを懸念して、国民の前で、意図的に火消しに躍起になっていると見るべきだろう。
確かに今回の日露首脳会談に関して、専門家の見方は真二つに割れる。一つは、端的に安倍外交の完敗と見るもので、反安倍や反ロシアといったそれぞれに厳しい見方をする専門家に見られる考え方で、今回はここに欧米も含まれる(Financial Timesもそう報じた)。と言うのも、ロシアによるクリミア併合によって今なお対ロシア制裁が続く緊張する時期での日露首脳会談であり、実際に、プーチン訪日のタイミングにぶつけて、欧州はロシア制裁継続を発表し、米国は大統領選でのロシアによるハッキングを公然と非難したのは、日本の国益は理解しないわけでもないが日露接近は面白くないというサインなのだろう。もう一つは、領土問題では確かに成果がなかったが、主に対中関係の文脈において、ロシアを中立化する(つまり日米VS中露、もっと言うと、日VS中+露という構図を作らない)という中長期の目的に照らして先ずは合格点と見なすものだ。私も、どちらかと言うと後者に近い。
何故、安倍首相は頑張ったと言えるのか?と言うと、ひとえに中国メディアの反応による。国営・新華社通信は15日配信の論評で「ロシアを対中包囲網に取り込もうとするのは独り善がりの妄想に過ぎない」と、日中露のバランスが変容することに強い警戒感を示したという。こうした神経質と見える論評を引き出しただけでも、今回の首脳会談は成功だったように思う。
なお、プーチン大統領が3時間近くも遅刻したことに関しても、前者は、過去にローマ法王はじめ要人と会ったときと同様、遅刻することによって、どちらが会いたがっているのか、格の違いを見せつけようとしているのだと論じるが、後者は、単にシリア問題で忙殺されていたからやむを得ないのだと好意的に見る。
あらためてロシアをはじめ諸外国との関係を見てみたい。
トランプ氏がプーチン大統領に、IS掃討の連携のために秋波を送るのは、ロシアの孤立に手を差し伸べることに繋がり、日本の立場を弱くすると見る向きが多いが、そもそもロシアが期待するシベリア開発に米国は興味がないこと、また米露接近がホンモノなら、対中牽制に資するため、必ずしも日本にとって悪い話ではないことは言えると思う。他方、中国は、クリミア併合によって国際的に孤立したロシアに救いの手を差し伸べ、対米牽制で共闘しているとされる。そもそも中ソ(現ロシア)対立の頃からウマが合わなかった両国は、安全保障上も相互に警戒してきた歴史があり(さしずめ、テーブルの上で握手しながら、テーブルの下で脚を蹴り合う戯画のように)、その後、GDPが逆転し、さらに原油価格暴落でロシア経済の落ち込みに拍車がかかる昨今、中国にとってロシアは、敵の敵は味方、程度の重みしかないように思える。ロシアにとっての中国も同様で、国民レベルではむしろ親日と言われる。ロシアにとって対日カードは、ただでさえ極東ロシアで増え続ける中国人の流入に依らないという意味合いがあり、中国に対して有効だ。
こうした環境を踏まえつつ、ロシアに対する見方については、東西冷戦期にそもそもの淵源があると言われる。東西冷戦の頃からソ連を批判的に見て来た人は、当然ながら今のロシアに対する見方も厳しいのが一般的のようだ。これはアメリカでも同様で、世代で言うと60代以上が該当するようだ。他方、40代や50代の出発点はもう少しニュートラルで、地政学的にロシアを捉える傾向にあるようだ。日露関係については、もう少し時間をかけて状況を追ってから判断してもよいように思う。
確かに今回の日露首脳会談に関して、専門家の見方は真二つに割れる。一つは、端的に安倍外交の完敗と見るもので、反安倍や反ロシアといったそれぞれに厳しい見方をする専門家に見られる考え方で、今回はここに欧米も含まれる(Financial Timesもそう報じた)。と言うのも、ロシアによるクリミア併合によって今なお対ロシア制裁が続く緊張する時期での日露首脳会談であり、実際に、プーチン訪日のタイミングにぶつけて、欧州はロシア制裁継続を発表し、米国は大統領選でのロシアによるハッキングを公然と非難したのは、日本の国益は理解しないわけでもないが日露接近は面白くないというサインなのだろう。もう一つは、領土問題では確かに成果がなかったが、主に対中関係の文脈において、ロシアを中立化する(つまり日米VS中露、もっと言うと、日VS中+露という構図を作らない)という中長期の目的に照らして先ずは合格点と見なすものだ。私も、どちらかと言うと後者に近い。
何故、安倍首相は頑張ったと言えるのか?と言うと、ひとえに中国メディアの反応による。国営・新華社通信は15日配信の論評で「ロシアを対中包囲網に取り込もうとするのは独り善がりの妄想に過ぎない」と、日中露のバランスが変容することに強い警戒感を示したという。こうした神経質と見える論評を引き出しただけでも、今回の首脳会談は成功だったように思う。
なお、プーチン大統領が3時間近くも遅刻したことに関しても、前者は、過去にローマ法王はじめ要人と会ったときと同様、遅刻することによって、どちらが会いたがっているのか、格の違いを見せつけようとしているのだと論じるが、後者は、単にシリア問題で忙殺されていたからやむを得ないのだと好意的に見る。
あらためてロシアをはじめ諸外国との関係を見てみたい。
トランプ氏がプーチン大統領に、IS掃討の連携のために秋波を送るのは、ロシアの孤立に手を差し伸べることに繋がり、日本の立場を弱くすると見る向きが多いが、そもそもロシアが期待するシベリア開発に米国は興味がないこと、また米露接近がホンモノなら、対中牽制に資するため、必ずしも日本にとって悪い話ではないことは言えると思う。他方、中国は、クリミア併合によって国際的に孤立したロシアに救いの手を差し伸べ、対米牽制で共闘しているとされる。そもそも中ソ(現ロシア)対立の頃からウマが合わなかった両国は、安全保障上も相互に警戒してきた歴史があり(さしずめ、テーブルの上で握手しながら、テーブルの下で脚を蹴り合う戯画のように)、その後、GDPが逆転し、さらに原油価格暴落でロシア経済の落ち込みに拍車がかかる昨今、中国にとってロシアは、敵の敵は味方、程度の重みしかないように思える。ロシアにとっての中国も同様で、国民レベルではむしろ親日と言われる。ロシアにとって対日カードは、ただでさえ極東ロシアで増え続ける中国人の流入に依らないという意味合いがあり、中国に対して有効だ。
こうした環境を踏まえつつ、ロシアに対する見方については、東西冷戦期にそもそもの淵源があると言われる。東西冷戦の頃からソ連を批判的に見て来た人は、当然ながら今のロシアに対する見方も厳しいのが一般的のようだ。これはアメリカでも同様で、世代で言うと60代以上が該当するようだ。他方、40代や50代の出発点はもう少しニュートラルで、地政学的にロシアを捉える傾向にあるようだ。日露関係については、もう少し時間をかけて状況を追ってから判断してもよいように思う。
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