年末になって、ちょっとしたサプライズがありました。私は日経新聞しか見ていませんが、久々に一面記事に巨大文字を見ました。「首相、・・・」とあって、安倍さんが亡くなったのかと不謹慎なことを思いつきましたが、違いました。「首相、靖国参拝」
日経としては、主要な読者である大企業や経済団体を慮ってか、最近の保守的な傾向にも係らず批判的です。中国や韓国が激烈な口調で反発を強めるのは想定のうちですが、他の国・民族はどうか、産経Webでいくつか反応を拾ってみると・・・
それぞれに微妙な立場の違いというものを感じさせて、面白い。ロシアは、北方領土という懸案を抱えて、中・韓に近い立場です。ユダヤ系団体は、広く人道的な立場からの非難であり、EUは、地域的な緊張を高める行為に対する批判です。アメリカの在日大使館がdisappointedという強い調子で懸念を表明したのも、EUと同じ立場からでしょう。ニューヨーク・タイムズ(電子版26日)が、首相の靖国参拝は中・韓との緊張をさらに高める「危険なナショナリズム」だと批判する社説を掲載しているのが、それに当たります。更にウォールストリート・ジャーナル(電子版26日)は、「日本の軍国主義復活の恐怖を、自国の権益拡大の口実に使いたい中国への贈り物」だとして、日本外交の重荷となり、日米関係にも打撃を与える恐れがあると皮肉に伝えているように、地域的な緊張の実態は、経済的な攪乱要因でもあり、また軍事的にも暴走しつつあって、国際的なルールからはみ出しがちな中国に関与しどうコントロールするか、それなのに中国に軍拡の口実を与えるばかりか、西側の同盟国であったはずの韓国をも反発させ、反日を言い訳にして離米・従中に走らせかねない・・・といった事態を懸念するわけです。
こうした批判は、今の国際情勢をみる限りにおいてはその通りですが、そもそもこの問題は、中国が肥大化したために国際的な関心を呼ぶようになりましたが、過去20年もの間、連綿と繰り返されて来た極東におけるローカルな話題です。とりわけ改革開放に舵を切った中国が体制固めのための愛国教育を強化する代償として反日を煽るようになってから、ということは、キッカケは中国の国内問題であるため、日本が自重しても事態は変わるどころか、ますます図に乗ったり、国内問題によって悪化したりして来ました。韓国でも事情は似たり寄ったりで、国内問題にビルトインされ、密接不可分であるばかりか、従軍慰安婦問題のように、日本が譲歩すればもはや蒸し返さないとの約束を簡単に反故にし、ますます図に乗って、平気で仇で恩を返す国柄です。朴大統領が、第三国で日本の歴史認識を糺すなど、破廉恥なことだと本人が気づかないほど血迷った強気な姿勢は、国内支持基盤が弱く、国としても社会的・経済的に不安定であることの裏返しです。
しかし、以前のブログで「戯画的」と形容した中・韓の表面上の反応はともかく、よくよく見ると興味深い記事も見られます。再び、産経Webから拾います。
明らかに、風向きは微妙に変わっているようです。最近、中・韓において、行き過ぎた反日(韓国に至っては侮日)への反省が見られつつあることが、背景にあるように思われます。日本の対中投資が減らないのは、私自身は不満ですが、しかし最近の好景気によって増える投資は中国ではなく東南アジアに向かっています。レアアースの最大の需要者だった日本を、輸出制限で脅した中国は、日本に代替技術開発で対抗され、却ってレアアース業界の不況を招き倒産の憂き目にあっています。そしてなにより製造装置やキー・コンポーネントでは日本に大きく依存する経済の実態は、中国でも韓国でも同じであり、今では日・中・韓の経済は相互依存的であって、政治・外交関係の悪化を望まない声が根強い。そしてそれぞれの国民の意識です。中国や韓国においても、異常と映る事態を冷静に見つめる目は養われつつあります。
何よりも日本人の意識の変化です。よく中国の報道官が決めゼリフにする「日本の行動によって引き起こされる重大な政治的結果は、日本側がすべての責任を負うべきだ」というのは、そのまま熨斗を付けてお返ししたい。中・韓の理不尽なまでの反日姿勢によって、日本人の中・韓を見る目線も厳しくなりました。週刊文春や週刊新潮に至っては、反中・反韓の記事を競っているかのようで、さすがの私も気後れするほどですが、それは極端にしても、今回、朝日をはじめとするマスコミは、相変わらず安倍首相の靖国参拝を痛烈に批判しますが、国民は意外に冷静に受け止めているのではないか。勿論、朝日をはじめとするマスコミ報道にすっかり毒された、おばさん、おじさんが大勢いるのも事実です。島の一つや二つを取られようが、子供を戦争に行かせたくないという庶民感覚だけで、また民主主義がここまで成熟した日本において、今だに「いつか来た道」を想起させられて、憲法9条を死守し、集団的自衛権や特定秘密保護法に嫌悪感を示す人たちです。勿論、それぞれに問題がないとは言いませんが、生理的に嫌悪感を示されると議論にもなりません。若い人の間にも保守化した傾向が広がっているように見えるのは、ネトウヨばかりではなく、今となっては十分に権力をもち一つの体制を構成すると言ってもよいマスコミのサヨク的な言動に、若者らしい素朴な反発を感じているせいかも知れません。
首相周辺の証言によると、首相が靖国参拝を決断する「ダメ押し」となったのが、小銃の銃弾提供を巡る韓国の反応だったようです。当初、韓国は、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加する韓国軍への銃弾1万発の「日本からの提供」を「非公表」とするよう求めていたようですが、どうせ銃弾の口径が同じなのは日本だけなのだからすぐに分かるとして、韓国の意向を伝える事務方の説明に対して、安倍首相は「ノー」を突きつけたそうです。産経Webの報道を引用すると、「『積極的平和主義』を掲げる首相にとって、国連の要請に基づく緊急かつ人道上の必要性が高い銃弾の無償提供は、理念を行動に移す絶好の機会でもあった」「だが、韓国国防省の報道官は24日、銃弾が『不足していない』と強弁。在京の韓国大使館が正式に要請し、現地の韓国軍は謝意を述べたのに、韓国から外交ルートでの感謝は表明されていない」という事情は、ご存じの通りです。安倍さんは、参拝すると公言して総裁になり首相にもなったのであって、そこに期待する保守層への配慮もありますし、第一次安倍政権の頃からの思い入れも伝えれられますが、この一年、よく我慢されてきたと思います。さすがにもはや配慮は無用と思うに至ったのでしょう。日本人の多くも、その思いを共有します。中国にしても韓国にしても「その行動によって引き起こされる重大な政治的結果は、中国側、韓国側がすべての責任を負うべき」です。ことほど左様に、国際環境にあっては、双務的であるのは当たり前のことであるのを、中・韓はそろそろ知るべきです。
日経としては、主要な読者である大企業や経済団体を慮ってか、最近の保守的な傾向にも係らず批判的です。中国や韓国が激烈な口調で反発を強めるのは想定のうちですが、他の国・民族はどうか、産経Webでいくつか反応を拾ってみると・・・
ロシア外務省のルカシェビッチ情報局長は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝について「遺憾の意」を表明するコメントを出した。参拝は第二次世界大戦下で日本の「侵略」の犠牲になった人々を苦しめる行為だと指摘した。日本と北方領土問題を抱えるロシアは「第二次大戦の結果の見直しは認められない」との立場を取り、戦時の日本の「軍国主義」を批判している。
ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)のエーブラハム・クーパー副所長は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝を「倫理に反している」と非難する声明を発表した。副所長は「戦没者を含め、亡くなった人を悼む権利は万人のものだが、戦争犯罪や人道に対する罪を実行するよう命じたり、行ったりした人々を一緒にしてはならない」と指摘した。さらに副所長は、北朝鮮をめぐる情勢が緊迫した中で安倍首相が参拝したことに懸念を表明。「安倍首相が目指してきた日米関係の強化や、アジア諸国と連携して地域を安定化させようという構想に打撃を与える」と批判した。(共同)
欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表の報道官は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝に関し声明を発表、「地域の緊張緩和や中韓両国との関係改善の助けにならない」と批判した。報道官は、日中韓各国に対し「EUは、緊張を高める行動を避け、外交で争いを解決する必要性を常に強調してきた」と訴え、地域の長期的な安定に向け、建設的な関係を築くよう促した。(共同)
ユダヤ系団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)のエーブラハム・クーパー副所長は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝を「倫理に反している」と非難する声明を発表した。副所長は「戦没者を含め、亡くなった人を悼む権利は万人のものだが、戦争犯罪や人道に対する罪を実行するよう命じたり、行ったりした人々を一緒にしてはならない」と指摘した。さらに副所長は、北朝鮮をめぐる情勢が緊迫した中で安倍首相が参拝したことに懸念を表明。「安倍首相が目指してきた日米関係の強化や、アジア諸国と連携して地域を安定化させようという構想に打撃を与える」と批判した。(共同)
欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表の報道官は26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝に関し声明を発表、「地域の緊張緩和や中韓両国との関係改善の助けにならない」と批判した。報道官は、日中韓各国に対し「EUは、緊張を高める行動を避け、外交で争いを解決する必要性を常に強調してきた」と訴え、地域の長期的な安定に向け、建設的な関係を築くよう促した。(共同)
それぞれに微妙な立場の違いというものを感じさせて、面白い。ロシアは、北方領土という懸案を抱えて、中・韓に近い立場です。ユダヤ系団体は、広く人道的な立場からの非難であり、EUは、地域的な緊張を高める行為に対する批判です。アメリカの在日大使館がdisappointedという強い調子で懸念を表明したのも、EUと同じ立場からでしょう。ニューヨーク・タイムズ(電子版26日)が、首相の靖国参拝は中・韓との緊張をさらに高める「危険なナショナリズム」だと批判する社説を掲載しているのが、それに当たります。更にウォールストリート・ジャーナル(電子版26日)は、「日本の軍国主義復活の恐怖を、自国の権益拡大の口実に使いたい中国への贈り物」だとして、日本外交の重荷となり、日米関係にも打撃を与える恐れがあると皮肉に伝えているように、地域的な緊張の実態は、経済的な攪乱要因でもあり、また軍事的にも暴走しつつあって、国際的なルールからはみ出しがちな中国に関与しどうコントロールするか、それなのに中国に軍拡の口実を与えるばかりか、西側の同盟国であったはずの韓国をも反発させ、反日を言い訳にして離米・従中に走らせかねない・・・といった事態を懸念するわけです。
こうした批判は、今の国際情勢をみる限りにおいてはその通りですが、そもそもこの問題は、中国が肥大化したために国際的な関心を呼ぶようになりましたが、過去20年もの間、連綿と繰り返されて来た極東におけるローカルな話題です。とりわけ改革開放に舵を切った中国が体制固めのための愛国教育を強化する代償として反日を煽るようになってから、ということは、キッカケは中国の国内問題であるため、日本が自重しても事態は変わるどころか、ますます図に乗ったり、国内問題によって悪化したりして来ました。韓国でも事情は似たり寄ったりで、国内問題にビルトインされ、密接不可分であるばかりか、従軍慰安婦問題のように、日本が譲歩すればもはや蒸し返さないとの約束を簡単に反故にし、ますます図に乗って、平気で仇で恩を返す国柄です。朴大統領が、第三国で日本の歴史認識を糺すなど、破廉恥なことだと本人が気づかないほど血迷った強気な姿勢は、国内支持基盤が弱く、国としても社会的・経済的に不安定であることの裏返しです。
しかし、以前のブログで「戯画的」と形容した中・韓の表面上の反応はともかく、よくよく見ると興味深い記事も見られます。再び、産経Webから拾います。
ソウルの日本大使館前では27日夕、市民団体が「安倍、即刻、割腹せよ!」と書かれた横断幕を掲げて謝罪を求め、安倍首相の人形や写真を燃やし、日本製品の不買も訴えたが、わずか約30分で終了した。一方、韓国各紙は1面トップで、参拝する安倍首相の同じ写真を掲載。テレビのニュースも同様で、韓国では“メディア主導”の「反日」が目立っている。
中国ではインターネットで、27日午前に北京の日本大使館前で抗議デモを行う予告が出回り、公安車両が配置されるなど、厳しい警戒態勢が敷かれた。ただ、午後になっても大使館周辺でデモ参加者の姿を確認できず、北京が拠点の反日団体関係者は産経新聞の取材に「公安当局にデモの申請を提出したが、許可はまだ下りていない」と説明した。
中国ではインターネットで、27日午前に北京の日本大使館前で抗議デモを行う予告が出回り、公安車両が配置されるなど、厳しい警戒態勢が敷かれた。ただ、午後になっても大使館周辺でデモ参加者の姿を確認できず、北京が拠点の反日団体関係者は産経新聞の取材に「公安当局にデモの申請を提出したが、許可はまだ下りていない」と説明した。
明らかに、風向きは微妙に変わっているようです。最近、中・韓において、行き過ぎた反日(韓国に至っては侮日)への反省が見られつつあることが、背景にあるように思われます。日本の対中投資が減らないのは、私自身は不満ですが、しかし最近の好景気によって増える投資は中国ではなく東南アジアに向かっています。レアアースの最大の需要者だった日本を、輸出制限で脅した中国は、日本に代替技術開発で対抗され、却ってレアアース業界の不況を招き倒産の憂き目にあっています。そしてなにより製造装置やキー・コンポーネントでは日本に大きく依存する経済の実態は、中国でも韓国でも同じであり、今では日・中・韓の経済は相互依存的であって、政治・外交関係の悪化を望まない声が根強い。そしてそれぞれの国民の意識です。中国や韓国においても、異常と映る事態を冷静に見つめる目は養われつつあります。
何よりも日本人の意識の変化です。よく中国の報道官が決めゼリフにする「日本の行動によって引き起こされる重大な政治的結果は、日本側がすべての責任を負うべきだ」というのは、そのまま熨斗を付けてお返ししたい。中・韓の理不尽なまでの反日姿勢によって、日本人の中・韓を見る目線も厳しくなりました。週刊文春や週刊新潮に至っては、反中・反韓の記事を競っているかのようで、さすがの私も気後れするほどですが、それは極端にしても、今回、朝日をはじめとするマスコミは、相変わらず安倍首相の靖国参拝を痛烈に批判しますが、国民は意外に冷静に受け止めているのではないか。勿論、朝日をはじめとするマスコミ報道にすっかり毒された、おばさん、おじさんが大勢いるのも事実です。島の一つや二つを取られようが、子供を戦争に行かせたくないという庶民感覚だけで、また民主主義がここまで成熟した日本において、今だに「いつか来た道」を想起させられて、憲法9条を死守し、集団的自衛権や特定秘密保護法に嫌悪感を示す人たちです。勿論、それぞれに問題がないとは言いませんが、生理的に嫌悪感を示されると議論にもなりません。若い人の間にも保守化した傾向が広がっているように見えるのは、ネトウヨばかりではなく、今となっては十分に権力をもち一つの体制を構成すると言ってもよいマスコミのサヨク的な言動に、若者らしい素朴な反発を感じているせいかも知れません。
首相周辺の証言によると、首相が靖国参拝を決断する「ダメ押し」となったのが、小銃の銃弾提供を巡る韓国の反応だったようです。当初、韓国は、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に参加する韓国軍への銃弾1万発の「日本からの提供」を「非公表」とするよう求めていたようですが、どうせ銃弾の口径が同じなのは日本だけなのだからすぐに分かるとして、韓国の意向を伝える事務方の説明に対して、安倍首相は「ノー」を突きつけたそうです。産経Webの報道を引用すると、「『積極的平和主義』を掲げる首相にとって、国連の要請に基づく緊急かつ人道上の必要性が高い銃弾の無償提供は、理念を行動に移す絶好の機会でもあった」「だが、韓国国防省の報道官は24日、銃弾が『不足していない』と強弁。在京の韓国大使館が正式に要請し、現地の韓国軍は謝意を述べたのに、韓国から外交ルートでの感謝は表明されていない」という事情は、ご存じの通りです。安倍さんは、参拝すると公言して総裁になり首相にもなったのであって、そこに期待する保守層への配慮もありますし、第一次安倍政権の頃からの思い入れも伝えれられますが、この一年、よく我慢されてきたと思います。さすがにもはや配慮は無用と思うに至ったのでしょう。日本人の多くも、その思いを共有します。中国にしても韓国にしても「その行動によって引き起こされる重大な政治的結果は、中国側、韓国側がすべての責任を負うべき」です。ことほど左様に、国際環境にあっては、双務的であるのは当たり前のことであるのを、中・韓はそろそろ知るべきです。
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