風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

カール・ショック

2017-05-27 20:11:58 | 日々の生活
 「カ~ル」と言えば、あの長嶋さんが1991年に旧・国立競技場で行われた世界陸上の100Mで9秒86という当時の世界記録を樹立して優勝したカール・ルイスに呼びかけた言葉が今も耳に残るが、ここで言っているのは勿論、「それにつけてもおやつはカ~ル」の「カ~ル」で、昨日の日経朝刊13面中央の記事見出し「『カール』東日本で販売終了」、小見出し「それにつけても・・・時代の流れ」には驚いた。近年はポテトチップスなどの人気に押されて売上低迷し、日経記事によると、最盛期の1990年代に190億円あった年商が今では約60億円と三分の一以下に減っているらしい。それにつけても・・・である。
 早速、ネットでは、買い溜めが報じられ、メルカリやヤフオクでは高額でのカール転売が相次いだらしく、せいぜい小売価格120円の商品が500~600円で出品され、中には10万円を超えるものもあったというのは話題作りのご祝儀ながら、販売中止を惜しむ思いの強さのあらわれであろう。
 「売上において特に地域のバラツキはない」そうだ。では何故、東日本で販売終了なのか。販売地域を絞るときに、生産効率の観点から、5つの工場の内の4つ(埼玉・坂戸、静岡・藤枝、大阪・高槻、山形・上山)で生産中止して子会社・四国明治の愛媛・松山工場に集約するとすれば、物流効率の観点から、西日本限定で販売継続する判断になったというが、繰り返すが特に売れ行きが西日本に偏っていたわけではないそうだ。これに合わせて、品目も絞り込み、「うすあじ」と「チーズあじ」のみ残るそうで、確かにこの二品目は定番だが、三番手だったであろう「カレーあじ」がなくなるのはなんとも寂しい。
 ネットでも「なくなると分かってから騒いでも・・・」などと揶揄する声が出ていて、まさにその通り、私だってここ数年は口にしていないが、いつでも食べられると高を括るのと、普通にはもはや食べるチャンスがなくなるのとでは大違い、というのが人間の心理というものだ。学生時代、私は自宅から通っていたので、友人の下宿に泊まるときに、言わばショバ代として手土産に酒のつまみを買い込むときに、いつもカールをしのばせていたのが懐かしい。まさか30数年の時を経て、関西土産の貴重品になってしまうとは・・・いつか東日本でも復活することを祈念しつつ、合掌。
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2 コメント

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人間の心理 (あんびばれんと)
2017-06-01 10:52:31
「いつでも食べられると高を括るのと、普通にはもはや食べるチャンスがなくなるのとでは大違い」・・・まさに同感です!ニュースをみて大急ぎでAMAZONで注文しましたが、遅きに失しました。西日本では生産販売継続されるわけですから、そのうち手に入るようになるでしょう。

ジャガイモ不足でカルビーが一部商品を休止した時も同じような現象がおき、人間の心理は面白いと思いましたが、「期間限定」「季節限定」「産地限定」などなど限定品にはつい手が伸びますね。

一方で、つねづね学生に「Treasure every moment. Every experience is the treasure of your life」と一期一会を強調しているのですが、ある意味、人生のすべての経験は期間限定(「いまここ」のその時しか体験できないこと)なはずなのに、こちらはなぜかつい「また今度がある」などど思ってしまうのは、不思議な人間の心理と思います。
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一期一会 (風来庵主人)
2017-06-02 02:09:19
私の母校(高校)に、大先輩である有名作家揮毫による「一期一会」の石碑が建っていますが、当時、その有難みを感じるものはいなかったと思います。若者には人生の残り時間が潤沢にありますから。しかし今頃になって大小さまざまな同窓会があちらこちらで開かれています。残り少ないとか限りあるものであるとかを知るからこそ、カール・ショックを受けるわけで・・・むしろその一瞬を全身全霊で生きてこそ感性が磨かれる、記憶はネットにまかせて、人間の人間たる所以である唯一無二の感性を研ぎ澄まそう、みたいなことの方が良いのでは。
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