コロナ元年5月5日
先日、いつものコースを散策していましたら、金蘭に出会った。そう言えば、この時期だったなと、当時の事が想い出された。青々とした雑草の中で背伸びして咲いていたその姿は、そよ風のゆりかごの中で気持ちよさそうに揺れていた。きっと少女にとってはコロナのことは蚊帳の外の出来事だったのでしょう。
また来年も会えるねと、挨拶を交わし、その場を通り過ぎた。目を上にやると、それは桜の花がいつのまにかさくらんぼに変わっていた4月末のある日の出来事だった。
春の陽気に誘われて
何の想いもなく
歩いていると
そよ風さんが
現れ
何かが泳いだ
金蘭だ
今年も会えたね
と声を掛けると
こっくり
彼女は呟いた
その傍らで
蜜蜂が
せわしげに蜜を
集めていた