宵(よひ)ごとに立ちも出(い)でなむ夕づつの月なき空のひかりと思はむ(古今和歌六帖)
そよ暮れぬ楢のひろ葉に風おちて星いづる空のうす雲のかげ(夫木抄)
庵さす山の端(は)ちかき夕づつのかげほのかなる小野のしのはら(夫木抄)
くらき夜の山松風はさわげども梢の空に星ぞのどけき(玉葉和歌集)
月をこそながめなれしか星の夜のふかきあはれを今宵知りぬる(玉葉和歌集)
明星(あかぼし)のかげ見えそむる山の端に月のなごりをしばし見るかな(正治二年後度百首)
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あふぎみる空なる星の数よりもひまなきものは心なりけり(続千載和歌集)
くもりなき星の光をあふぎてもあやまたぬ身を猶(なほ)ぞうたがふ(新勅撰和歌集)
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寄星恋
日暮るれば山の端(は)に出(い)づる夕づつの星とは見れど逢はぬころかな(古今和歌六帖)
我が恋は空なる星の数なれや人に知られて年の経(へ)ぬれば(古今和歌六帖)
来ぬ人を待つはむなしくあかぼしの影は夜ごとに閨をとへども(草根集)