上陽人を 従三位宣子
くらしかねなかき思ひの春の日にうれへともなふうくひすのこゑ
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
家百首歌に、上陽人を 藤原為忠朝臣
いたつらに六十の春も過にけり宮のうくひす声はかりして
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)
上陽人の心をよみ侍ける 鴨邦祐
聞ことをいとひても又馴にけり六十の春のうくひすの声
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
ものおもふときはなにせむうくひすのききいとはしきはるにもあるかな
はかなしやむなしきとこにあけくれてとしのむそちのそらにすきぬる
しらさりきちりもはらはぬとこのうへにひとりよはひのつもるへしとは
(夫木抄~日文研HPより)
青黛画眉々細長といへる事をよめる 源俊頼朝臣
さりともとかくまゆすみのいたつらに心ほそくも老にけるかな
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
上陽人苦最多、少思苦老亦苦といへる心をよめる 源雅光
むかしにもあらぬすかたに成ゆけとなけきのみこそ面かはりせね
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
むかし、上陽人上陽宮にとぢこめられて、おほくのとし月をおくりけり。(略)
このひと、むかし、うちにまいりけるに、そのかたちはなやかにおかしげなりけるをたのみて、楊貴妃などをもあらそふ心やありけん、一生つゐにむなしきゆかをのみまもりつゝ、はなのかたちいたづ らにしほれて、むばたまのくろかみしろくなりにけり。
(唐物語~講談社学術文庫)