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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 冬 水鳥、鴛鴦

2013年12月02日 | 日本古典文学-冬

鳥は
(略)水鳥は鴛鴦いとあはれなり。互に居かはりて、羽のうへの霜を拂ふらんなどいとをかし。都鳥。川千鳥は友まどはすらんこそ。(略)鴨は羽の霜うち拂ふらんと思ふにをかし。
(枕草子~バージニア大学HPより)

しもかれのあしへおしなみふるゆきのえにうつもるるあちのむらとり
(壬二集~日文研HPより)

冬の池のみくさおしなみ降る雪におのれもしろき鴨のむらどり
(光経集)

水鳥を 中務卿恒明親王
さゆる夜の氷とちたる池水に鴨の青羽も霜や置らん
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

しものうへにあられふるよはあし鴨のはらふ羽音(はおと)のしげくもあるかな
(正治二年後度百首~日文研HPより)

題しらす 為道朝臣
夜もすからはらひもあへぬ水鳥のはかひの霜に氷る月影
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

池水鳥といふ事を 広義門院
朝あけのこほる浪間にたちゐする羽をともさむき池の村鳥
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

百首歌たてまつりし時、水鳥 按察使実継
むれてたつ鴨のうきねの跡はかりしはしこほらぬ庭の池水
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

家五十首歌よみ侍けるに、池水鳥 入道二品親王道助
住わひて池のあしまを立鴨の氷にのこる跡もはかなし
(新拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす たちはなのゆきより
池水やこほりとつらんあしかものよふかくこゑのさはくなる哉
(拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

道助法親王家五十首歌に、池水鳥 前中納言定家
鳰とりの下のかよひも絶ぬらん残る波なき池のこほりに
(新後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

堀川院に、百首歌たてまつりけるに 河内
水鳥のかものうきねのうきなから浪の枕にいく夜へぬらん
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 紫式部
水鳥を水の上とやよそに見む我も浮たる世を過しつゝ
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

四季物語の中に 鳰の君
波分くるにほの浮き巣の磯伝ひ寄る辺定めぬ契り悲しな
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

題しらす 伊勢
涙にそうきてなかるゝ水鳥のぬれては人にみえぬ物から
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

題しらす 読人しらす
水鳥をよそにみしかと恋すれは我も涙にうきねをそなく
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

うきてぬるかものうはけにおくしものきえてものおもふころにもあるかな
(興風集~日文研HPより)

冬比、人の来むといひて、見えずなりにしつとめて
起きながら明かしつるかな共寝(ともね)せぬ鴨の上毛の霜ならなくに
(和泉式部続集~岩波文庫)

寄鳥恋と云事を 明魏法師 
歎つゝ独やさねんあしへ行鴨の羽かひも霜さゆる夜に 
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

水鳥を 三善資連
夜半の霜はらひかねても水鳥のうき身ひとつとねをや鳴らん
(新続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

冬比、里に出て大納言三位につかはしける 紫式部
うきねせし水の上のみ恋しくて鴨のうは毛にさえそをとらぬ
返し 従三位廉子
うちはらふ友なきころのね覚にはつかひし鴛そ夜半に恋しき
(新勅撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

慶雲三年丙午幸于難波宮時 志貴皇子御作歌
葦辺行く鴨の羽交ひに霜降りて寒き夕は大和し思ほゆ
(万葉集~バージニア大学HPより)

水鳥をよめる 前斎院六条
中々に霜のうはきをかさねてもをしの毛衣さえまさるらん
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

冬の池にすみなれにけるをしどりの霜うちはらひ夜半に鳴くなり
(二条太皇太后宮大弐集)

たいしらす よみ人しらす
よを寒みねさめてきけはをしそ鳴はらひもあへす霜や置らん
(後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)

水鳥の歌とて読る 賀茂重保
をく霜をはらひかねてやしほれ臥かつみか下に鴛の鳴らん
(千載和歌集~国文学研究資料館HPより)

正治百首歌の中に 式子内親王
むれてたつ空も雪けに寒暮て氷の床にをしそ鳴なる
(風雅和歌集~国文学研究資料館HPより)

あられふりかせもはけしきふゆのよにつかはぬをしのこゑそわふなる
(千五百番歌合~日文研HPより)

物思ひけるころ、水鳥の声をあはれに聞きて 藻に住む虫の権中納言
片敷きの袖さへ凍る冬の夜は鴛鴦のうきねをよそにやは聞く
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

冬歌の中に 宜秋門院丹後
かたしきの霜夜の袖に思ふかなつらゝの床の鴛の独ね
(続拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

恨むることありて逢ひ侍らざりける女の、独り明かして、池の水鳥の番(つがひ)離れぬをうらやましく見て 親子の中の内大臣
水の上に氷閉ぢたるをしだにも番離れて明かすものかは
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

ふゆのいけにつがはぬをしは我なれやうきねのとこになきあかしつつ
(実材母集)

題しらす 郁芳門院安芸 
逢事のとゝこほりたる水の上につかはぬ鴛のうきねをそなく 
(新後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

女二の宮の住み給ひける一条に忍びておはしましたるに、池に立ちゐるをしの音なひも同じ御心におぼされければ 狭衣のみかどの御歌
我ばかり思ひしもせじ冬の夜につがはぬをしのうきねなりとも
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

霜はげしき朝(あした)に
思ひやれつらくひまなき原(はら)の池につがはぬをしの夜半のうき寝を
(藤原惟規集~岩波文庫「紫式部集」)

亀山殿にて人々題をさくりて七百首歌つかうまつりけるに、池水鳥 民部卿為藤
池水につかはぬをしはねぬなはのくる夜もなしとねをや鳴らん
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)

鴛鴦のうち鳴きたるに、
 「かきつめて昔恋しき雪もよにあはれを添ふる鴛鴦の浮寝か」
(源氏物語・朝顔~バージニア大学HPより)

 美濃守頼光(よりみつ)、妻(め)なくなりてのころ、霜のいみじう白きあしたに
このころの夜半(よは)の寝覚めを思ひやるいかなるをしか霜(しも)はらふらん
 返し
冬の夜の霜(しも)うちはらひなくことはつがはぬをしのわざにぞありける
(小大君集~「和歌文学大系52」明治書院)