今上はしめて鳥羽殿に朝覲行幸(てうきんのきやうかう)の時、更につかへて両院御拝(りやうゐんこはい)の儀まのあたり見奉りて、思ひつゝけ侍ける 前太政大臣(実氏)
ためしなき我身よいかに年たけてかゝる御幸に*出つかへつる(イ:けふつかへつる)
(続後撰和歌集~国文学研究資料館HPより)
正応二年三月鳥羽殿に朝覲行幸の時、花添春色といふ事を講せられけるに 一条内大臣
花の色を春のひかりと思ひしやけふの御幸のためし成らん
(続後拾遺和歌集~国文学研究資料館HPより)
正応二年三月、鳥羽殿に朝覲行幸のとき、花添春色といふ事を講せられけるに 為道朝臣
花の色は千とせをかねて古のためしにまさる春にも有かな
前参議為実
うつろはぬはこやの山の花の色にけふ九重の春をそへつゝ
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
花園院位におはしましける時、朝覲行幸の儀を御覧せさせおはしましてよませ給うける 伏見院御製
春にあふ老木の桜ふりぬれはあまたかさなるみゆきをそみる
(新千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
偽れることにより、女院も院に渡らせ給ひにければ、こもりゐて侍りけるを、朝覲の行幸につかうまつるべきよしせちにのたまはせければ、こと直るべきにやと思ひて、つかうまつれりける後もかひなく侍りければ 言はで忍ぶの一条内大臣
逢ふことのなみのぬれ衣(ぎぬ)たち出でてほすやと待ちしほどぞはかなき
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)