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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

榎(え・えのき)

2021年05月13日 | 日本古典文学-草樹

此(こ)を板來(いたく)の驛(うまや)といふ。其の西、榎木(えのき)林を成せり。
(常陸国風土記~岩波・古典文学大系2)

是に、大連、衣揩の朴(えのき)の枝間(また)に昇りて、臨み射ること雨の如し
(日本書紀)

 懸事
本儀は柳櫻松鷄冠木此四本也。(略)又切立は榎木椋木もこれを用べし。
(遊庭秘鈔~群書類従19)

玉虫多く住む榎二木あり。
(宇津保物語~新編日本古典文学全集)

汝ヂ前生ニ毒蛇ノ身ヲ受テ、信濃ノ國ノ桑田寺ノ戌亥ノ角ノ榎ノ木ノ中ニ有リキ
(今昔物語~国文学研究資料館HPの古事類DBより)

坊の傍に大きなる榎(え)の木ありければ、人、「榎木(えのきの)僧正」とぞいひける。
(徒然草~角川ソフィア文庫)

サテ行水シ坊ノ前ノ榎木ニ縄ヲカケテ。頸ヲクヽリテ死ニケリ。
(沙石集~国文学研究資料館HPより)

危かりける時、野中に大なる榎木一本あり。二に破て中開たり。宮其中に入給へば、木又いえ合ぬ。敵打廻見けれども、見え給はざりければ、陣に帰ぬ。其後榎木又破れて中より出給ぬ。
(源平盛衰記~バージニア大学HPより)

さしもに猛き守屋が強力。さしもに猛き守屋の強力。さも弱々と老木の柳の。緑の梢も朽榎木の。諍識も尽き果て。我慢も倒れて。櫓より落つるを。
(謡曲「守屋」~半魚文庫「謡曲三百五十番」より)

川端の岸のえの木の葉をしげみ道ゆく人の宿らぬはなし
(夫木和歌抄~校註国歌大系22)

わかやとのえのきつきのきつきことにつかひはやらむこころまたくな 
(家持集~日文研HPより)

外面なる榎の木の紅葉なかなかにおのれとうすき色はめづらし
(東撰和歌六帖~「和歌植物表現辞典」(東京堂書店)より)

我が門の榎の実もり食む百千鳥千鳥は来れど君ぞ来まさぬ(わがかどのえのみもりはむももちとりちとりはくれどきみぞきまさぬ)
(万葉集~伊藤博「萬葉集釋注」集英社文庫ヘリテージシリーズ)

のきはにはいなはかりかけやまかけのそとものえのみいろつきにけり 
(春夢草~日文研HPより)