こすゑのみあはとみえつつははききのもとをもとよりしるひとそなき
(柿本集~日文研HPより)
園原や伏屋に生ふる帚木の有りとて行けど逢はぬ君かな
(古今和歌六帖~校註国歌大系9)
聞名尋恋
あはさらんことをはしらてははききのふせやとききて尋ねきにけり
(山家集~日文研HPより)
不逢恋 法印隆淵
よしさらばありとなみえそ箒木のおふるふせやは道まよふ也
(飛月集~続群書類従14上)
信濃国伊那と申所に侍て人の許へ申つかはし侍し
山たかみ見つゝわかこしはゝ木々のあはてふせやに迷ころ哉
(李花集~群書類従14)
あひみてはおもてふせやに思ふへしなこその関におひよ箒木
(纂題和歌集~明治書院)
「帚木の心を知らで園原の道にあやなく惑ひぬるかな
聞こえむ方こそなけれ」
とのたまへり。女も、さすがに、まどろまざりければ、
「数ならぬ伏屋に生ふる名の憂さにあるにもあらず消ゆる帚木」
と聞こえたり。
(源氏物語・帚木~バージニア大学HPより)
物申ける人の母に、申へき事ありてまかりて尋けるに、たひ++なしと申てあはさりけれは 俊頼朝臣
はゝ木ゝはおもてふせやと思へはや近つくまゝにかくれ行らん
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
そのはらやありとかききしははききをよそにもみせぬあさかすみかな
(御室五十首_顕昭~日文研HPより)
ははききのおふるふせやのさみたれにありとはみえぬよはのつきかけ
(洞院摂政家百首_基家~日文研HPより)
承暦二年内裏歌合にもみちをよめる 源師賢朝臣
はゝきゝの梢やいつこおほつかなみなそのはらはもみちしにけり
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)
素阿法師
またや伏屋に時雨ふるらん
さそはるるその帚木の嵐にて
(菟玖波集~バージニア大学HPより)
その原と人もこそ聞け帚木(はゝきゞ)のなどか伏(ふせ)屋に生(お)ひはじめけん
(狭衣物語~岩波・日本古典文学大系)
よくよく見れば、園原(そのはら)や、伏屋(ふせや)に生(お)ふる帚木の、ありとは見えて逢はぬとこそ、聞きし物を今ははや、疑(うたが)ひもなき、その母や子に、逢ふこそ嬉しかりけれ、逢ふこそ嬉しかりけれ。
(謡曲「柏崎」~岩波・新日本文学大系「謡曲百番」)
帚木(ははきぎ)のよそながら見し文もあり。
(小町草紙~岩波文庫「御伽草子・上」)
信濃の国に園原伏屋といへる所あるに、そこに森あるを、よそにて見れば、庭掃く帚に似たる木の梢の見ゆるが、近く寄りて見れば失せる、と言ひ伝へたる。
(俊頼髄脳~ウィキペディアより)