題不知 前大納言為家
秋風に峰行雲を出やらて待ほと過るいさよひの月
(続千載和歌集~国文学研究資料館HPより)
やとことにおもはせたりやくれはててしはしまたるるいさよひのつき
あきかせのふけはなみよるくもまよりやさしくみゆるいさよひのつき
みちていてしきのふのくれのけしきにもおとらすみゆるいさよひのつき
(為忠家後度百首~日文研HPより)
やまのはにたなひくくもやはれぬらむいつるもしるきいさよひのつき
(白河殿七百首~日文研HPより)
山の端の霧とびわけて行く雁の羽風にしろきいざよひの月
(光経集)
たえたえにまきのしたつゆかくろへてみねたちのほるいさよひのつき
(春夢草~日文研HPより)
十六夜の月、昨日の空にもまさり顔に、差し出づるに、御盃の数々、岩間に漂ふらん。御遊びも飽かず思すらん。宰相の君の、
盃(さかづき)の光も差してめぐるかな
と、のたまはせば、三位の中将、
たれも今宵はいざよひの空
と、のたまはするも、いとをかしくこそ。
(松陰中納言~「中世王朝物語全集16」笠間書院)
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