monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「玉貫く」用例

2016年05月05日 | 日本国語大辞典-た行

 「玉貫く」という用語は、「玉を緒(お)でつらぬく。水滴などを玉にみたてて、それらをつらぬいている、また、つらねているさまにいう。」という語釈となっていて、日本国語大辞典・第二版では早い用例として、『実方集』(998年頃)をあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

万葉集の「玉貫く」用例は、すべて「(五月五日の)薬玉に通す」意なので語釈もやや限定されます。

ほととぎす何の心ぞ橘の玉貫く月し来鳴き響(とよ)むる(221ページ)
高御座(たかみくら) 天(あま)の日嗣と すめろきの (略) あやめぐさ 玉貫くまでに 昼暮らし (略)(263~264ページ)
時ごとに いやめづらしく 八千種に (略) あやめぐさ 玉貫くまでに あかねさす 昼はしめらに (略)(285ページ)
我が背子(せこ)と 手携(てたづさ)はりて 明けくれば (略) あやめぐさ 玉貫くまでに 鳴き響(とよ)め (略)(287~288ページ)
伊藤博校注『万葉集 下巻』(角川文庫)角川書店、1988年


コメントを投稿