「袖の淵」という用語は、涙が多く流れることのたとえで、日本国語大辞典第2版では、浄瑠璃『暦』(1685年)の用例を早い例として挙げていますが、もっとさかのぼる用例が複数あります。
この人にふちなとたつねをきてあはんといひしかは
流れいてんうきなにしはしよとむ哉求めぬ袖の淵はあれ共
(巻第二百七十六・相模集)
塙保己一編『群書類従・第十五輯(訂正三版)』1987年、643ページ
年(とし)月の恋も恨みもつもりては昨日にまさる袖の淵(ふち)哉
(式子内親王集、恋、182)
『和歌文学大系23』(式子内親王集・建礼門院右京大夫集・俊成卿女集・艶詞)明治書院、2001年、31ページ
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