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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

古典の季節表現 春 櫻に寄せて 寄花恋

2016年04月06日 | 日本古典文学-春

女院をはつかに見たてまつらせ給ひて、桜に付けて聞こえさせ給ひける あたり去らぬの一条院御歌
いまさらに霞隔てば山桜人目見てきと人に語らん
御返し
春を経て霞晴れせぬ山桜いかなる折か遠目にも見む
(風葉和歌集~岩波文庫「王朝物語秀歌選」)

西四条斎宮のもとに、花につけてつかはしける 権中納言敦忠
匂ひうすくさける花をも君かため折としをれは色まさりけり
返し 雅子内親王
おらさりし時より匂ふ花なれはわかため深き色とやはみる
(玉葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

年をへていひ渡侍ける女の、さすかにけちかくはあらさりけるに、春のすゑつかたいひつかはしける 大中臣能宣朝臣
いくかへりさきちる花をなかめつゝ物思ひくらす春にあふらむ
(新古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

桜のいとおもしろう咲きたるを見て、往(い)にし人のもとより、「散らぬ先に、今一度いかで見む」と云ひたるに
疾(と)うを来(こ)よ咲くと見る間に散りぬべし露と花とのなかぞ世の中
といひやりて待つに、日比になりぬれば、いひやる
来(く)まじくは折りてもやらん桜花風の心にまかせては見じ
といひたれば、「なかなかあだの花は見じとてなむ」と云ひたるに
あだなりと名にこそ立てれ桜花霞のうちに籠めてこそをれ
(和泉式部続集~岩波文庫)

寄殘花戀
葉がくれに散りとゞまれる花のみぞ忍びし人に逢ふ心地する
(山家集~日文研HPより)

寄花恋
つれもなき人にみせはやさくらはなかせにしたかふ心よわさを
(山家集~日文研HPより)

寄花恋  摂政左大臣
あたなりし人の心にくらふれは花もときはのものとこそみれ
(金葉和歌集~国文学研究資料館HPより)

寄花忍恋
思ふ事色にいつとも人とはは花の物いはぬ陰やたのまん
寄春木恋
身にそしむ色も匂ひもなほ迷ふ花のかりねの明けし契は
寄花別恋
おくれかせ花桜戸の休らひにいてゆく袖のあかぬ匂を
寄花契恋
たのめ置く中の契も花のかにふかからぬ夜の袖の別ち
寄花恋
契りしもうき名はよそにちりの世の花にあたなる色やまさらん
(草根集~日文研HPより)


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