亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「Ring of Fire. 炎上しない金」

2012年10月03日 23時37分13秒 | 金市場

中国が国慶節の連休でインドも祭日、アメリカでは主要な経済指標の発表もなく・・・ということで、話題はユーロ圏でスペインの救済申請があるや否やという点に絞られた昨日の金市場。オーストラリア(準備銀行)の予想外の利下げは、金には関係なし。

スペインについては、救済申請を巡ってスペイン内外で各方面からいろいろ見通しが語られるのだが、結局、ドラギECB総裁が手を挙げてもらえば無制限に(償還期限の短い)国債を買い取る用意があるとして以降、国債価格が比較的安定していることが申請をためらわせている。スペイン政府としては救済要請をすると外部機関からの財政介入が予想され、それは避けたい。必然的にどうしても及び腰になる。しかし、市場はこうした不透明要因を嫌がるという展開となりそうだ。親(ECB)の心、子知らず。早晩、たまさかの安穏は崩れ、市場の動きに背中を押されて救済申請ということになりそうだ。無制限購入の意向を示し、早くも1ヵ月が過ぎることになった。

今夜は約1ヵ月前に市場をどよめかせた(給与計算など)米雇用サービス会社ADPによる民間雇用の前月比増減が発表された。9月は16万2000人の増加。市場予想の14万人は上回った。8月の数字は当初の20万1000人から18万9000人に下方修正された。先月の例からもわかるが、このデータが必ずしも政府発表の雇用統計と整合性があるわけではない。ガイドラインといったところ。全般的には、(財政の崖問題や海外情勢から)企業が雇用を増やそうと意欲を高める環境ではないのは確かだから、仮に今回も下振れとなれば金価格上昇の弾みになるだろう。

本日興味深く・・・というか、やはり!と思いながら読んだのが、毎月Webサイトに掲載されるPIMCOのMD、ビル・グロースの月間投資見通しに関連する記事。“Damages”と題されたレポートに基づく記事で、「米国は、マリファナやコカインを超え、財政というクリスタルメス(純度の高い覚せい剤)で何度も自らに快楽を与える常習犯であり麻薬依存症だ」と米国の財政赤字について書いている。

以下、報道とあわせて該当する原文抜粋してみた。

Unless we begin to close this gap, then the inevitable result will be that our debt/GDP ratio will continue to rise, the Fed would print money to pay for the deficiency, inflation would follow and the dollar would inevitably decline. Bonds would be burned to a crisp and stocks would certainly be singed; only gold and real assets would thrive within the “Ring of Fire.”

「米国はこの財政赤字を埋め始めなければ、当然の結果として債務の対GDP比率は上昇が続き、債務の返済のためFRBはマネーを印刷し、インフレが起こり、ドルは必然的に下落することになる。債券はパリパリに焦げ、株式も確実に焦げる。この『リング・オブ・ファイア』の中で成功するのは金と実物資産だけだ」

なぜ、やはり!と思いながら読んだのかというと、8月の時点でPIMCOが運用する「Commodity Real Return Strategy Fund 」というものがあり、その中で金の持ち分を増やしたというレポートを読んでいたからだ。何!!PIMCO!!トータル・リターン・ファンドの名前で知られるボンド(債券)で有名なPIMCOが金!!・・・・ということで頭にあった次第。

しかし、“Ring of Fire.”の中には米国のみならず日本も入っている。


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1 コメント

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Unknown (大西)
2012-10-06 22:26:45
亀井先生、こんばんは、興味深い記事ですね。私のような素人でも直観的にQE3の副作用を危惧しますが。どうなんでしょうね。仮に、その国でハイパーインフレが起こり得るならば,予兆や何らかのシグナルはあるのでしょうか。それとも、突然、起こり得るのでしょうか。
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