12月の定例理事会での緩和策の拡大が、すでに10月時点で予想されていたECB。
時間を経る中で発表されたユーロ圏のインフレ率や経済指標に弱さも目立ったことから、市場のECBに対する政策拡大期待も高まることになっていた。と同時に、米欧の逆向き方向の政策からユーロ売りポジションも積まれて来た。意は言外にあり、とはよく言ったもので、ECBがユーロ安を求めてきたこともある。
蓋をあけてみて市場はユーロ売りポジションの手仕舞いに向かったが、理由に使ったのが資産買い取りの増額がなかったというもの。“(量的緩和)期間の延長”という以前からドラギ総裁が口にしていた拡大策ではなく、さらに踏み込んだ、わかりやすい(市場アピール度の高い)“買取り金額の拡大”を市場は読んでいた。しかし大外れとなった。
たしかに思惑外れの行動の結果ではあろうが、目先の材料通過でユーロ売りに傾いたポジションがいったん閉じられた(un-wind)という内部要因主導型の側面が強そうだ。問題は昨夜の動きが、相場の転機となるのか否かということ。ドルのトレンド転換を指摘する声もある。
ショートが膨らんでいるのは金市場も同じで、足元でNYコメックスの金は(グロスで見て)過去最大規模のショートを抱えた状態にある。
予見した材料の結果に値動きの理由を求めているが、そもそもカネ余りの上で構築された偏ったポジションがボラを高め、方向を決めている側面がある。
今夜の雇用統計の結果で金もその他もどう動くか興味深い。