亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

11月の米雇用統計の上振れ、はしゃいだのは株式市場

2019年12月09日 23時40分36秒 | 金市場
11月の米雇用統計は報じられたように大きく上振れとなった。もともと多少予想よりいい数字が出ることで、FOMCでの利下げ見通しがさらに遠のき、金が売られる状況を読んでいた。しかし、直前のISM製造業景況指数の中の雇用指数の低下やADP全米雇用報告の大幅な下振れから、これは逆にネガティブ・サプライズかとも思ったがフタを開けたら何のことはない、前月比の非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想18万人増に対し26万6000人増と大きく上振れ。今回の雇用増には11月にストを実施した自動車大手GM(ゼネラルモーターズ)の従業員約4万6000人が職場復帰したことが上振れを大きくしたが、それでもなお22万人ほどの増加となる。さらに今回の雇用統計では、10月分の雇用者増加数が当初の12万8000人から15万6000人に上方修正されるなど2カ月分で合わせて4万1000人上乗せ改定された。掛け値なしに強い内容だった。

しかし、この結果にはしゃいだのは株式市場に限られた。為替市場では確かにドル高となったものの、ドル指数(DXY)は0.3%高の97.68ポイントで終了。週間ベースでは下落となり、下落率は11月初旬以来の大きさとなっており、ドル円相場で見てもこの日の高値は108.92円までで109円を超えることはなかった。これは債券市場も同じで、米国債10年債利回り(長期金利)は前日の1.812%からこの日は1.841%止まりで、こちらも雇用増のインパクトの割に変動は大きくなかった。

発表直前まで1480ドル台を中心に横ばいとなっていた金価格は、結果を受けリスクオンに傾いた市場の流れの中で売りを浴びることになった。ストンと10ドルほど水準を切り下げたあとに売り買い交錯状態に、その後株式市場が大幅高で取引を開始すると水準を切り下げながら進行し、さらに10ドルほど下げることになった。安値は1463.30ドルまで見たものの1460ドル割れには至らなかった。11月中旬を中心に米国株式が過去最高値を更新しリスクオン・センチメントが広がる中で1450ドル割れが見られてきた経緯がある。

結局、NYコメックスの金通常取引は前日比18.00ドル安の1565.10ドルで終了となった。金市場の関心は今週10、11日の両日で開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの見送りに移っており、雇用統計の結果により今回の政策金利の変更なしは確定したとみられる。それを織り込んだ上での金の下げという解釈でいいだろう。

基本的な雇用者数の上振れだが、季節的な臨時採用で数字が押し上げられた側面も考えられ、来月以降の改定値待ちということのように思われる。AMAZONの配送やらレストラン従業員など、比較的大手の企業では拾えない(ADPではカバーできない)雇用を、労働省のデータでは拾ったということか。いずれしても複数月のトレンドで見る必要がある。


結局、結果にはしゃいだのは、ここまで3回の利下げと(実質的な)量的緩和策に沸く株式市場だったということではないか。週明け本日のNY株がどうなるか。

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