亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米雇用統計  9月利上げを見送っておいてよかったという結果に

2015年10月05日 21時22分52秒 | 金市場

10月2日金曜日の米雇用統計発表前にここに「今回の雇用統計は(中略)、8月の修正値がどうなるかというものもある。さらに“幾ばくかの”プラス要因というFOMCの背中を押す“some”が期待というか予想されている。ゆえに金は弱含みで推移している」とした。市場では8月の雇用統計が上方修正され、9月も予想値の近辺になると見られていることで、金が1100ドル割れ寸前まで売られているという内容だった。

結果は報じられたように逆になった。特に8月分が大きく下方修正されたことが“悪さ”を印象付けた。過去18年間で14年は上方修正されてきたのが8月のデータ。逆に下方修正されたのだからまさにサプライズ。当初の17万3000人増が19万人増うまくいけば20万人突破上方修正され9月も20万人前後であれば、利上げにGoサインで、金価格は1100ドル割れに。ただし、その安値あるいは月末までにさらに下押すならば、その価格が当面の安値になるというのがいくつか想定したシナリオの一つだった。

それにしても下方修正された8月分に加え9月の予想20万人に対し14万2000人増という結果は、(FOMCとしては)期せずして9月の利上げを見送っておいてよかったということになったわけだ。もともと雇用者数の増減は振れが大きいのが特徴で単月のデータだけで先行きを判断するのはリスクがあり、9月分だけでは景気減速を見極めるのは難しい。そこで8月のデータが物を言うわけだ。

こうなると雇用統計は遅行指数とされ、遅れて数字に反映されるという傾向があるのも気にされるだろう。この夏場から景気には陰りが出ていたのではないかと思わせるからだ。金曜日にも書いたが、このところ米国の製造業の景況指数に減速を示す結果が増えており、金融市場を中心に警戒感が高まっている折でもある。

こうなると2期8年以上を勤め上げたFRB議長の後の議長の時代は、波乱が避けられぬという“FRB議長のアノマリー”が気にかかる。拙著で過去2度取り上げたが、その色合いはますます濃くなってきた。金市場では、9月のFOMC後に金ETFへの資金流入が目立っており、今回の雇用統計を受けて今週はどうなるか見もの。本日は米9月のISM非製造業景況指数の発表。サービス産業は好調を維持してきたが、さてどうなっているか。

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