亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「遅まきながら自律反発」

2013年07月01日 20時05分21秒 | 金市場

6月19日のFOMC後のバーナンキ議長の量的緩和縮小見通し以降約200ドルの大幅な下げとなった金価格。モメンタム系のファンドの動きに主導される展開に付き、先日値動きのパターンとして“振り子”を例に挙げた。週末28日は5営業日ぶりに反発となったが、さすがに売られ過ぎ感が台頭というよりも、週末、月末、四半期末のポジション調整というのが上昇の背景。ここまで材料が何であれ、無関係で売られた経緯がある。

28日のNYでは、例によって午前10時過ぎにまとまった注文が出て動きが加速した。ここまでの「まとまった売り」ではなく逆の「まとまった買い」だったが。 28日は、ミシガン大の消費者信頼感指数が強い数字が出たにも関わらず、下げなかったことがやっと売り一巡との見通しをもたらし買われたとダウ・ジョーンズが書いていたが、そんなこともあるのだろうが、売り飽きた市場の期末要因にからんだ自律反発ということだと思う。今週は、独立記念日もあるし、週末にはいつものイベント(雇用統計)が控える。警戒感を持って注視されているETFの残高も、この4営業日は変化が見られない。6月に入って売り一巡感が出たものの、その後再び売りが膨らんだ経緯がある。それにしてもファンドもかなりショートに傾いている。ネットではロングを維持するが100トンそこそこの水準は、実質的にはネット・ショートの状態といえる。雇用統計が予想を違えるような低い水準になると、ショート・カバー・ラリーの現出となる。

それにしても先々週から先週末に至る期間は、株安に始まり米長期金利の急騰や中国でのクレジットクランチもどきの動きなど、FOMC以降に市場が荒れたが、FRB関係者のみならずECBやBOE(イングランド銀行)まで含めて市場を落ち着かせるのに躍起になっていた印象が強い。カネ余りの上に浮く市場ゆえに、市場心理の“振れ” が思わぬ事態に至る可能性は否定できないためだ。特にFRB関係者はかなり神経質になり、ばらまき策の縮小は迫っていないし、やったとしても引き締めではないということを、入れ代わり立ち代わり説いて回っていた。その一方で金が下げ続けたのだが、そういった材料とは離れた、ファンドの力技の売りに値を消している状況のように見える。

まぁ、ばらまき策は終わる方向に間違いないでしょ・・・といわれれば、そのような方向だが、これはやれたとして時間が掛かるし、その「時間が掛かる状態」に耐えられずに悲鳴が上がる状況があるのではないか。特に財政面が焦点になりそうだ。まだまだ先の話だけど。ばらまきの縮小に着手、しかし株はジワジワ上がるという状況が欲しいんだろうなぁ。
金価格は、まずは1250ドルを超えられるか否か。。ショートカバーにつき新規資金の流入ではない。

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