終値ベースで1830ドルを抜けるか否かに注目中のNY金だが、なかなかすんなり突破とは行かないようだ。昨年10月中旬から11月初めの展開も同じだった。
1月13日は結局5営業日ぶりの反落となった。注目の昨年12月の米生産者物価指数(PPI)は、市場予想を下回るとともに20年4月以降で初めてモノの価格が下落したことを映したことから、インフレにピークアウト感が台頭。さらに、副議長昇格に関する上院の公聴会に立ったブレイナード米連邦準備理事会(FRB)理事はじめ複数のFRB高官が一段の引き締めが必要になる可能性に言及したこともあり、NYの時間帯に金市場は売り優勢の流れに転じることになった。
前日に発表された昨年12月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想に沿った結果とはいえ、前年同月比7%の伸びと約40年ぶりの水準に加速したことを受け、年初来高値を更新していた金。この日はPPIが市場予想を下回ったことが判明すると、見事に売り優勢の流れに転じた。NY時間の昼に向けて水準を切り下げ一時は1811.80ドルの安値を見ることになった。ただし、この水準では買い拾う動きがあり、下げ渋りから反転すると再び1820ドル台に復帰。終盤は1820ドル台前半を横ばいで推移しそのまま終了となった。 NYコメックスの通常取引終値は前日比5.90ドル安の1821.40ドルだった。
米長期金利の指標10年債利回りが低下したこと。またドルが主要通貨に対し売られ、ドル指数(DXY)が一時94.660と昨年11月10日以来2カ月ぶりの安値に落ちたことも金価格をサポートした。
報じられたように12月のPPIは前月比0.2%上昇と11月の1.0%上昇から鈍化し、20年11月以来13カ月ぶりの小幅な伸びとなった。ただし、前年同月比は9.7%上昇となり、11月の9.8%上昇を下回るものの依然として高水準であり、タカ派的スタンスに転じているFRBの方向性を変えさせるほどの内容ではない。ちなみに市場予想は前月比0.4%上昇、前年同月比9.8%上昇となっていた(ロイター調べ)。
この日、上院銀行委員会の証言に立ったブレイナードFRB理事の証言内容は、おおむね前日のパウエル議長の発言内容に沿ったものだった。「高水準のインフレを非常に懸念している」と語り、約40年ぶりの高水準にあるインフレ率を制御することがFRBの「最重要の責務」とした。3月に量的緩和の縮小(テーパリング)が終了「次第」、「利上げできる状態になる」とした。「我々は22年に数回の利上げを予測し、その後しばらくして保有資産の縮小を始めることも話し合っている」ともしている。また、「これまでの約50年間の景気回復局面の中で、最も強い成長と失業率の低下が見られている」としており、引き締め策の加速に経済が十分耐えられると判断していることがうかがえた。
従来からFRB内でハト派理事の最右翼と目されている人物の発言は、3月の利上げを印象付けた。
この日は他にも複数のFRB高官が伝えられた。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は2022年は少なくとも3回の米利上げを見込むとし上で、バランスシート(保有資産)縮小については、前回の国際金融危機時よりも速いペースで進めるべきだとの考えを示した。シカゴ地区連銀のエバンス総裁らも、一段の引き締めが必要になる可能性に言及した。
その中でも金は底堅く推移という印象。
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