亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ベテラン記者セイモア・ハーシュ

2006年04月11日 18時27分17秒 | 国際情勢
9日付けの米紙ワシントン・ポストなど複数のメディアが報じた「ブッシュ政権、イラン核施設への空爆の可能性」のニュース。とりわけ雑誌ニューヨーカーに掲載されたピューリッツァー賞受賞者(1970年)でもあるベテラン記者セイモァ・ハーシュ氏のレポートがブッシュ政権をいたく刺激したようだ。イラク機密情報漏洩や情報操作で厳しい目を向けられているブッシュ政権だが、さっそく大統領自身が大学で行ったスピーチで「性質(たち)の悪い憶測」とこの報道を完全否定。

それでもBBCなどは、イランの国内世論を刺激するために敢えて流した情報ではないかとの見方を報じている。面白いのは(・・というと語弊がありそうだが)、このブッシュ政権とメディアのやり取りをイラン側はメディアもブッシュ政権と“ぐる”ではないかとしているところだ。

いずれにしても外交的駆け引きの最中ということか。AP通信が中心になって今月の初めに実施した世論調査でブッシュ政権の支持率は36%とこれまでの最低だったと先週末に伝えられていた。支持率回復を狙って主席補佐官を替えるという人事にまで手をつけた効果も限定的といったところか。その延長線上で捉えると、外交に国民の目を転じさせるという常套手段に打って出たのか?と勘ぐりたくもなるようなタイミングのニュースではある。

いわゆる地政学的リスクということで原油も金も買われたとされるが、地政学的要件を材料にする相場は、往々にして短期間で終わることが多いのは否めない。スポット価格600ドル突破のためのインパクトはあったが、安定的に維持するための材料となるとどうだろうね。昨夜のコメックス先物価格の高値は602.8ドルだった。これは引け値ベースでは高値更新だが、先週末の取引時間中の高値603.1ドルを下回るものとなっている。それに金本体は大幅に上げているものの金鉱株指数は小幅ながら下げている。東京は利食い売りの嵐の中を、かなりがんばったが、今週末の海外市場はGood Friday(イースター休暇)であることを考えると“ほどほどにしておこうか”と・・・・最後は手仕舞い優勢。

日本時間の明日の夜は、需給調査で定評のあるGFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシィズ)が2005年の需給統計を発表する予定。中東、インドなど宝飾需要の大幅な落ち込みを、どこまで投資需要がカバーしているのかという点が焦点になる。価格急騰にもかかわらず実需の落ち込みは軽かったというのが最も美しいシナリオだが、そこまで甘くはなさそうだ。外部要因で明日は米2月の貿易収支、3月財政収支、13日は米3月小売売上高がポイント。

書き忘れていたが、セイモア・ハーシュ記者は、例のイラクのアブグレイブ刑務所での捕虜虐待の事実を報じた人物でもある。辣腕記者だからこそ影響力も大きく、ブッシュ政権も向きになるということか。ピューリッツァー賞を受賞したのは、1968年ベトナム戦争時に起きた米軍によるソンミ村虐殺事件だった。この事件も有名だから知ってる人は多いよね。報じた記者の名前は知らなくてもね。

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1 コメント

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ホルムズ海峡封鎖 (いつも拝見しております)
2006-04-11 23:48:58
少しばかり気になることが・・・

イラン問題は緊迫化の一途を辿りつつあるのに、なぜか政府の対応が鈍いように思えます。

すでにドバイ・オマーン・OPECバスケットは前回高値を更新しています。



まさかないと思って何もしないわけではないでしょうけど・・・



ホルムズ海峡で有事あれば、一番困るのは東アジア諸国です。

特に、日本は困るでしょう、というより、産業が止まる可能性もあり、工業で食ってる円は売られ大パニックになるでしょう。

すでに算段できているのでしょうか?

第3次オイルショックというやつで、イライラ戦争があった80年代盛んにマスコミを騒がせましたね。



もう少しアメリカや欧州を牽制してもいいように思えるのですが・・・

これじゃ東アジア全域で備蓄増強にも拍車をかけるかもしれません。



まあ杞憂で終わると思いますけど・・・
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