16日のNY市場では、ドルが全面安状態となった。ドル円が113円を割り込んだきっかけは、4月の米住宅着工件数および許可件数のいずれも予想を下振れたこと。そこに、昨日も取り上げたトランプリスクへの警戒が加わったものと思われる。
もっとも、日本国内では主にドル円に関心が向くことから、このところ大勢的な認識はドル高円安というものだったと思われる。16日は円を含めドルが全面安になったことで国内でもドル安が注目されたが、ドルは他通貨とりわけユーロに対してこのところずっと弱含みに推移していた。金市場の参加者とくにファンドは、ドルインデックス(DXY)を指標にするが、こちらは1ヵ月前の4月18日から100ポイント割れを続けており、ここまでドル安基調が続いてきた。そして16日は引け値で、ついに昨年11月8日以来の水準に舞い戻ることになった。つまり米大統領選前の水準に戻ったことになる。
ドル建て金は、一足先に11月8日の引け値(1274.50を突破したものの、維持できずに下落。ドルインデックスは遅まきながら(半年掛けた)“行って来い”状態で、スタート時の安値に戻ることになった。弱いドルは強い金(ドル建て金)というセオリー通りの展開に。16日のNY市場で金が1240ドル台と騰勢を強めたのは、ドルインデックスへのさや寄せの動きで、売り方の買戻し(ショートカバー)とみることができる。この時間には17日のNY市場の取引が始まっており、早々に1250ドル台乗せをみている。
さて、別掲の市況解説でも取り上げたトランプリスクだが、機密情報の取扱の意識に欠けることも困りものだが、日本時間の今朝報じられたロシア疑惑がもとで辞任したフリン元補佐官の捜査をしないよう先日解任されたコミーFBI長官に圧力をかけていた疑いがあるという報道。報道に間違いがなければ、共和党議員の動き次第では、先行き大統領の弾劾もありと思わせる話につき要注意。
本日は、夕刻、ラジオ日経 「マーケットトレンド」出演でした。いつもの大橋ひろこさんです。
以下のURLです。
http://www.radionikkei.jp/podcasting/trend/2017/05/player-2017517.html
ウォターゲート事件の時の事を想い起こすと、ニクソン大統領が辞任した時には副大統領が大統領になったけど…