さてFOMCは予想通り資産買入れ(量的緩和策)を100億ドル減らし毎月450億ドルとした。
声明文はおおむね先行きに楽観的な印象の内容だった。異例の寒波の影響から冬場に大幅に減速したものの、「最近になり成長が加速している」とした。
この内容とやや整合性に欠けたのが、30日の午前中早くに発表された1-3月期GDP速報値だった。市場予想前期比年率でプラス1.2%に対し、わずかにプラス0.1%となった。過去5年の景気回復局面での最低の伸び率設備投資は-5.8%、住宅投資は-5.5%と、大幅な減少を記録した。それでも暖かくなれば、状況は変わるというのが共通認識になっており、FOMCの前向きなトーンとあいまり金市場では発表直後こそ買い材料となったが、長くは続かなかった。思うに、輸出が7.6%減と、リセッション後で最も大幅な落ち込みになっていたが、ユーロ圏や中国などアジアの減速の影響が出たものだろう。輸出を伸ばし景気回復の押し上げを狙おうとするオバマ政権の目論見は機能していない。輸入が1.4%減少したのは、天候要因で片づけるのだろうか。4-6月期は、反動で3%程度の成長を見るところが多いようだが、結局は大規模な金融緩和に財政赤字の拡大(財政支出の継続)というサポートがあっても、この程度のダラダラ回復が続くに過ぎないことを示している。それにしても、浮上しないユーロ圏と成長が落ちつつある中国の状況は、米国への影響も予想外に大きいのかも知れない。
なお、今回のFOMCでは資産買付け終了後にどうやってゼロ金利の解除をするかということ、すなわち出口戦略について真剣に話し合われたのではという指摘がある。議事録要旨の発表待ちだが、意外とタカ派的トーンが目立つ可能性もありそうだ。金市場にとっては逆風となりそうだ。