週明け2月26日のNY金価格は反落。前週末比10.50ドル安の2038.90ドルで終わったものの目立ったトピックはなし。
この2週間余りはおおむね2050ドル以下の水準での滞留が続いている。環境からは下値追いが見られても不思議はないにもかかわらず、アジア中心に現物の引き合いの強さもあり、底堅いとの評価になる。先送りされているとはいえ、FRBの政策バイアスは利下げ方向とのコンセンサスが市場に定着していることも下値を支えている。
26日も主要な経済指標の発表がない中で、相場の方向感は出にくかった。
米国財務省は今週大量の国債入札(新規発行)を予定していて、市場ではその結果(需要の引き合いの強弱)に注目が集まっている。26日は2年債(630億ドル)と5年債(640億ドル)の入札が行われ、いずれも過去最高の数字。2年債はやや低調、5年債は不調に終わったとされた。本日27日にも420億ドルの7年債入札が予定されている。
年内に利下げがあるなら、今のうちに条件のいい国債(債券)を買っておこうというのが、一般的な考え方で実際に2月は社債の発行ラッシュになっている。
発行額が膨らむ米国債に関連し目に付いたのは、この日就任後初めて講演したカンザスシティー連銀シュミッド総裁の発言だった。「利下げには忍耐強く臨むべき」と他のFRB高官と同様の話をしたが、バランスシート圧縮(資金回収、QT)については、急いで停止する必要があるとは考えていないとした。
新型コロナ禍による金融市場と景気の底支えで大規模量的緩和策(QE)を実施した結果、FRBが大量の米国債とMBS(住宅ローン担保債券)を保有しているが、そのリスクに言及。
金融政策と財政政策が結びついていることを示唆する傾向があり、FRBの独立性を脅かしかねないとした。まっとうな捉え方だが、他の高官はやや意見が異なる。
FRBは3月の連邦公開市場委員会(FOMC)にて、バランスシート圧縮(資金回収、QT)の今後について本格的議論を開始するとしている。方向としては資金回収額を減らそうというものとみられる。カンザスシティー連銀シュミッド総裁の発言はそれに反対の立場ということだろう。
金融環境は先行きのゴールド上昇に向けて進んでいる。目先の方向感は出ずとも、先の方向感は出ている。