このところ締め切りに追われており、更新が滞りがちに。
米国以外でもインフレのしつこさは同じということで、このところ米国以外の欧米の中央銀行の利上げの継続や再開などが毎週伝えられ、NY金は上値を抑えられる状況が続いている。さらにインフレのみならず、米国では予想を上回る経済指標の発表が続き、長短金利の逆転(逆イールド)の深化やその他景気減速、後退を示唆する指標など意味をなさなくなっているのではと思わせる状況に至っている。
米国の政策金利の水準は5.00~5.25%だが、多くが予想する次の利上げで5.5%に切り上がると、足元のCPI(消費者物価指数)と同じが上回る水準となる。CPIの総合指数は昨年6月にピークアウトした後に鈍化が続いている。
つまり実質金利は上昇しているわけで、これを『受動的な引き締め』と表現して,「単純に追加利上げに踏み切れば、経済の勢いを不必要に削ぐことになりかねない」と指摘してするのが、アトランタ地区連銀のボスティック総裁だ。
だから利上げを急ぐなと主張している。FRB高官の中ではハト派ということになりそうだが、ところが、「24年の大部分で利下げはないと予想している」として24年も高金利状態を維持するとする。
基本的には今後数カ月で引き締めの効果が一段と表面化するとしている。
ところが、足元で強い指標の発表が続く。
27日発表された5月の米新築住宅販売件数は前月比12.2%増の76万3000戸と、減少予想に反し3カ月連続でプラスを記録。前年比では20%増となる。新築住宅が住宅市場全体に占める割合は小さいが、契約時点での統計となるため先行指標として注目される。結果は住宅市場の強さを証明するものと受け止められた。
また米民間調査機関コンファレンス・ボードが発表した6月の消費者信頼感指数は109.7(前月102.5)に上昇し、市場予想(104.0、ロイター調べ)を上回り22年1月以来の高水準となった。米国経済の7割を占める消費動向を判断するために注目されるもの。現況指数が155.3と、21年7月以降ほぼ2年ぶりの高水準を回復。期待指数も79.3と、昨年12月来で最高となり全体指数を大きく引上げた。
今週は27、28日の日程で欧州中央銀行(ECB)主催の年次フォーラム(国際金融会議)がポルトガルの保養地シントラで開催されているが、初日の27日ラガルドECB総裁が利上げ継続を強く示唆した。
当初インフレはエネルギー価格高騰が主因の一時的なものとみられていたが、経済に広く浸透し今後も続く可能性があると指摘。その上で、「近い将来に金利がピークに達したとECBが自信を持って断言できる可能性は低い」とした。
この発言はユーロドルを押し上げドル指数(DXY)は下げたものの、金市場は利上げ継続観測の方に反応し10ドル下げ1923.80ドルで引けた。
本日はこのフォーラムのパネル討論にパウエルFRB議長はじめ植田日銀総裁も登壇が予定されている。日本時間の今夜11時前には発言内容が伝わると思われる。