亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

非難はあろうがFRBは国益優先

2010年11月08日 22時26分48秒 | 金市場

先週FRBが決めた追加緩和策について中国やドイツなどが非難の声を高めている。介入で人民元を安値に抑えていると非難される中国は、そもそも米国の緩和策の結果が人民元高であって、そっちに原因があるとするし。元々インフレにつながる可能性のある量的緩和にはDNAレベルでの拒否反応があるドイツではショイブレ財務相が前面に出て非難とも伝えられている。

 

こうした声を意識してだろう週末5日にフロリダ州のジャクソンビルでの講演に際してバーナンキ議長は、「ドルにとって最強のファンダメンタルズは経済が力強く成長している状況だ」とした。上げ足を取るわけではないが、・・・では今のような弱々しい成長ではドルを取り囲むファンダメンタルズは弱いということになる。だからドルは安いと。

 

さらに「力強い米経済は米国民のみならず、世界経済の回復にとっても極めて重要だ」との発言は、まぁこれは常套句だが、だからこそ追加の緩和策に乗り出したということで、米国自身のことのみを考えているわけではないと。。しかし、そこはFRB、米国の国益を第一義に考えるわけで、この場合他国への副作用など今は優先順位が低い・・・ということ。保護主義というと語弊があるが、やはりここは内向きにならざるを得ないということだろう。

 

なかでも「FOMC(連邦公開市場委員会)は物価安定という目標にコミット」、「正常な水準以上にインフレ率を上昇させようという考えはない」、「低下しているインフレや経済の大きな緩みの状況に満足すべきでない」という類の発言から思うのは、物価水準に対する警戒すなわちデフレ(日本化)阻止には、さらに力を入れそうだという。

 

ここまでの発言内容の流れから思うに、いまやFRBは隠れインフレ・ターゲットを採用しているのではということ。FRBは1.7~2.0%のインフレ率を適正と捉えていると見られるが、その水準からかい離している状況は好ましくなく、その引き上げのためにこれからも政策範囲を広げるという意識を感じさせる発言とみる。

 

利益確定売りに押し戻されそうで押し戻されない金価格はこうした状況を映しているとみる。押せば押したで当然の展開。


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