亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金滞留、米ISMサービスほぼ活動停滞の水準

2023年06月06日 17時06分27秒 | 金市場

先週末2日に発表された5月米雇用統計は、表看板の雇用者増加数前月比33万9000人で予想の19万人増を大きく上振れたものの、細目が陰りを感じさせたことで、結局評価は高くなかった。

そして週明け5日に発表された5月ISM非製造業(サービス業)景況指数は、市場の雇用統計に対する判断が的を射たものであったことを思わせた。

米国経済の3分の2を占めるサービス部門の景況感が予想外に悪化した。

発表された5月のISM非製造業景況指数は、50.3と、4月の51.9から52.3への上昇を読んだ市場予想に反して低下した。拡大と縮小の分岐点となる50は上回ったものの、5カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。ブルームバーグは「ほぼ活動停滞の水準」と報じた。

個別項目ではISM製造業景況指数の生産に相当する業況指数が、4カ月連続で低下し51.5と、3年ぶり低水準となった。 新規受注の指数も52.9に低下。受注残の指数は14年ぶりの低水準となっている。一方、価格指数も56.2と前月(59.6)から低下し、2020年5月以来の低水準となった。雇用指数も49.2と前月(50.8)から低下し、50割れとなった。5月のサービス部門の雇用は減少しており、労働市場の底堅さを示した先週の労働省発表の雇用統計とは、整合性のない内容だった。

 

週明け5日の金市場はNY時間外のアジアからロンドンさらにNYの通常取引入り後しばらくは、前週末に生まれた売り優勢の流れが続き、マイナス圏で推移。ロンドンの早朝以降は前週末比10ドルほど安い水準での取引が続いた。ただし、安値は1953.80ドルまでだった。 地合いは弱いものの、さりとて心理的節目の1950ドル割れを狙うといった積極的な売り仕掛けもなく、比較的自然体の静かな流れといえる。このあたりは昨日書いたように、4月以降大騒ぎして(出来高伴って売り買い交錯した上で)2000ドルを突破したわけではないので、しこりがないことによる。NY時間にISM非製造業が発表されるまでは、前週末からの売り先行の地合いが続いていたが、下値は限定的だった。

 

その後に発表を受けて、ドル安、長期金利低下の中でNY金は1970ドル台に水準を切り上げ終了ということに。高値は1980.40ドルまで。FOMCを来週に控え、FRB高官も発言自粛(ブラックアウト)期間に入っていること、また主要な経済指標の発表が限られていることから、市場横断的に手掛かり難というのが今週の地合い。

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