亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

四半期末を越えてNY金にも政治リスクの影

2020年09月28日 21時28分35秒 | 金市場
株価急落のリスクオフ・センチメント拡大の中でドルが対ユーロで買われドル指数(DXY)が94ポイント台後半に切り上げた先週。NY金は結局、5営業日中4営業日で下落となり週間ベースでは4.9%の下げに見舞われた。株価暴落環境で(売りたいものでなく)売れるものを売るキャッシュアウト(現金化)の嵐が吹き荒れた今年3月13日の週以来の下げ率となるもの。
ドル指数に沿ったファンドのAIロボット・トレードの売りが背景と書いたが、日本時間の週末26日早朝に発表された米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、9月22日までの1週間でファンドのネットの買い建て(ロング)が、重量換算で約70トン減少となっていた(オプション取引を除く)。その後、先週末に至る3営業日で約40ドルほど水準を切り下げ、1860ドル台で取引を終えたことから、さらにネットのロングは減ったとみられる。

ロングが整理されるとともに、ショート(売り建て)が2週連続で20トンペースで増え、約280トンに積みあがっている。規模として本格的に売り込んでいるものではないが、ロングの手仕舞いだけで下げているわけではないのは事実ではある。ただし、当面のFRBの政策方針や金融環境を考えると、ショートが目立って増えることはないだろう。もともとネットロングの水準がそれほど高いわけではないので、1カ月半のレンジを下に放れたとはいえ、ここからの下値は限定的と思う。

仮にここから数カ月先、来年春などの時点にFRBの(引き締め方面への)政策変更などを予想しての下げならば、ETFの残高が目立って減るという状況が足元で起きていると思う。先週は最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高が、後半に売られたものの約20トン増加した。ETF全体の残高は、来週前半に発表されるが9月も全体の残は増えたと思われる。21日1日でスパイダーの約31トン増は、年金基金など長期の投資家の買いと思われる。9月の四半期末までNY市場は3営業日を残すが、30日時点のETFとりわけスパイダーの大口投資家の持分は米国財務省への届け出期限でもある11月15日には明らかになる。そのタイミングで、米国は大統領選に関連した政治的混乱の中にあることが考えられ、不安定な金融環境を想定せざるを得ないのが現状だろう。

基軸通貨ドルの政策金利がゼロに落ち、現時点で23年末までこの状態が続くことをFRBがコミット。一方で財政赤字は拡大。そこに政治的混乱が加わる可能性が高く、それゆえ新型コロナ支援法案の成立も読めないとなると、FRBは12月の会合に向けて何らかの政策に出ざるを得ないと思うが、果たしてどうなるか。

明日9月29日は、16時30分からのラジオNIKKEIの生番組「マーケット・トレンドPLUS」に出演につき、この辺りを含めて取り上げる予定。
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