亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金価格刺激要因としてのウクライナ(かみ合わなかったベラルーシ会談)

2014年08月28日 20時50分51秒 | 金市場

市場の方は、この週末はレイバーデーの連休となることもあり、全般的に模様眺めで、金市場の取引量も薄くなっている。株式市場も同じで代表的な株価指数S&P500種平均は27日も過去最高値を更新し2000ポイント超を維持して取引を終了したものの、出来高は今年の最低となっている(祭日前などの半日取引を除く)。このところのドル高も一服意味となった。

日本時間の今夜は米4-6月期GDPの改定値が発表される。大きく落ち込んだ1-3月期の反動もあり速報値では年率で4.0%と高い数字が出たが、若干下方修正されると見られている。どうなるか。

金市場の関心事としては地政学的要因があるが、ウクライナ情勢は26日にベラルーシでの会談は、EU(欧州連合)などを交えた5者会議で6時間程度。さらにプーチン、ポロシェンコ会談が2時間に及んだとされる。しかし折り合わず、決まったのは「停戦協議を継続する」ということだった。報道では、この間もウクライナ東部では激しい衝突が続いていており、ウクライナ側ではロシア部隊の一部が越境して親ロシア派の援護にまわっていると主張、ロシアはこれを否定している。つまり事態に変化は見られていない。

この中でウクライナ政府はNATO(北大西洋条約機構)の軍事的サポートを求めているとされる。プーチン大統領のスタンスは、停戦云々はウクライナ政府と親ロシア派の間の協議であって、中身の議論は「我々の仕事ではない」というもの。親ロシア派とは無関係とする立場を主張するならば、そういうことになる。これでは、話し合いはどこまで行っても平行線。

ならば会談はなぜ成立したのか。背景に経済的な思惑があるとされる。ウクライナはEUとの間で最近、自由貿易協定(FTA)に署名しているが、このままウクライナがEUのグループに入るとロシア側には約3000億円(約1000億ルーブル)ほどの損失になるとされる。したがって5者会談でのロシア側の関心はウクライナ東部ではなく、貿易問題だったようだ。直接会談では、親ロシア派に関連した問題が話し合われたが物別れ、形式的には話し合い継続ということのようだ。止まっているロシアからウクライナへの天然ガスの供給問題もあり、秋、さらに冬に向けエネルギー問題も含め、これからひと山、ふた山ありそうだ。これまでも書いてきたが、ウクライナ問題は、(材料としては)一過性の有事などではない。

ロシアへの経済制裁を進めようとすると低迷するユーロ圏経済への影響も懸念され、ひいてはECBの金融政策へも波紋は広がる。もちろんロシアも苦しくなるのだが。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 溜まる“歪み”、欧州債への資... | トップ | 過去最低金利の更新(欧米で... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (fairlane)
2014-09-01 14:30:05
クリミアはともかく、ドネツクなどを獲ったところで資源があるわけでもなく、むしろ持ち出しになるのでは。。
プーチン皇帝の不敗神話を作り上げるためだけの気がしてます
返信する
ウクライナ東部 (亀井)
2014-09-02 18:50:44
NATOの東進を抑える象徴のような感じで支持率が上がっているのは事実です。

引く気はないので、先週からは事実上のロシア・ウクライナ戦争の様相です。中間選挙が迫る米国世論も刺激し、オバマはロシアが背後にいるシリア攻撃に踏み切るか。もちろんこちらは「イスラム国」対応が前面に出ますが・・・。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事