9月に入りレイバーデー以降のドル建て金価格の方向性を決めているのはドル相場。主要通貨に対するドル・インデックス(DXY)からは、目が離せなくなった。1時間ごとのティックチャートや毎日のチャートなどを追い掛けているが、週足でついに12週連続高となった。28年ぶりのこととされる。30日の市場では、WTI原油が急落状態となりCRB指数も大きく下げた。WTIはリビアの増産という需給上の材料もあったが、ドル安も売りの背景にあると見られる。
30日は、ユーロ圏の9月のCPI(消費者物価指数)が発表され前年同月比でついに0.3%の上昇と前月の0.4%からも落ちていた。いまや「1%割れが○ヵ月続いている・・・」などという表現すら使われなくなってきた。ただこれもエネルギーなどを抜いたコア指数では0.8%となる。総合指数の低下はエネルギー価格の低下が効いている。コア指数にしても1%を割れているわけで、ECB(欧州中銀)が何らかの動きに出るだろう・・・ということで30日はユーロが売られ、ドルもドル指数も上昇となった。
金市場の方は比較的薄商いの中で10ドル程度の上下動は出やすくなっている。今はまさに「強いドルは弱い金」状態にある。もっとも、売られているのはCRB指数でもわかるように金さけではなく、たとえば貴金属全般も安い。ちょうど7-9月期が終わったが、この3ヵ月で金は8.4%、銀は19%、プラチナ12%、パラジウム8%のそれぞれ値下がりとなった。自動車販売はここまで米国を中心に好調に推移してきたが、自動車市場版のサブプライムローンなどで相当無理をした販売も指摘されてきた。素材としての白金系だが先行きの懸念が相場に影を落としているというか。要はファンドが方針転換ということの表れと思う。