亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

注目の4-6月期金融決算

2009年07月08日 22時59分50秒 | 金市場
イタリアで開かれているサミット、主要8カ国首脳会談も、またプラス新興5ヵ国の会議でも、吹聴された基軸通貨を巡る問題や為替水準について声明文に盛り込まれるようなことはないようだ。そもそも中銀総裁や財務相が参加する会合ではないので掛声倒れは指摘されてきたので、サミット自体の材料性は薄かった。経常収支の不均衡な状態がスムーズに是正されることが長期的成長には必要・・・とは、ほとんどルーティーン化したサミットのこれまた頻度の高い声明文の一要素といえる。

市場では「グリーンシュート(景気回復の芽吹き)」を囃していた6月後半までの動きとは打って変わって、景気の先行きに対する慎重な見方が台頭している。心理面で先行した回復期待が一進一退の現実に直面し狼狽気味という流れ。先週の米民間調査会社コンファレンス・ボードが発表した消費者信頼感指数が予想55.0に対し49.3と大幅な悪化となったこと。さらに6月の米雇用統計が予想を違える雇用者数の減少を見せたことでにわかに警戒モードが高まった。需要の回復予想も修正する可能性が高まるならと原油もその他商品も売られている。やはり要注意の7月となりそうだ。そのなかで金はNYコメックスでは6月23日に付けた913.2ドルを維持するのか否か。この辺りの価格水準では現物の引き合いも見られると思う。

さらに7月は、今週末から本格化する決算発表が注目材料となる。

一般事業会社の決算については、アナリスト予想が控えめの数値になっていることから局所的にポジティブサプライズが起きることは予想の範囲内である。むしろ以前から指摘するように4-6月期の金融決算に注目したい。
1-3月期の予想をはるかに超えた金融の好決算はある面でイレギュラーなものだった。今回の決算は金融機関間の体力格差を投資家に意識させるものとなりそうだ。大手行の中には再び赤字に転落するところも出ると思われる。注目は、不況型の不良債権の増加がどれほどの規模になっているのかという点にある。先週もイリノイやテキサスなどで7行の地銀が破綻し年始からの破綻は52行となった。昨年1年間の25行を上回るばかりかピッチが上がっているのが現状だ。ここまで政府財務省とFRBやその他機関のなりふり構わぬ対応により住宅担保ローンなど証券化商品のバブル崩壊による金融危機はなんとか下火にした。この先には通常の景気後退に輪を掛けたような景気悪化による不良債権の拡大が控えているということである。とりわけ個人消費の落ち込みとも関係するが商業用不動産ローン関連の焦げ付きは金融機関の体力を蝕みそうだ。そうした面で、この7月は次を見据える点でも要注意ということになる。


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1 コメント

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6月の偶然 (いつも拝見しております)
2009-07-09 18:02:05
一昨年から6月天井の後、急落を重ねた日経平均の噂が囁かれてます。
最近、経済関連のネタを見ていても不気味な話が多くてちょっと気がかりです。
表だっては出尽くした材料もしくは終わった材料ですが、出尽くすはずがないし、終わるはずもない、との見方が大半です。
それらを踏まえた上でデフレ派とハイパーインフレ派の争いも釜茹で地獄と針地獄くらいの違いでしかありません。
むしろ、そんな議論が如何にバカげているかをよそに真剣に為されている状況は、市民生活無視と言われても仕方ないと思います。ただ、金融と市民生活とどちらをとるかと言われれば結局金融をとることはわかりきってますが・・・
しかし、最近の動きは今までのトレンドと違い、新たな動きを感じさせます。出来れば、もとの動きに戻って欲しいのですが・・・
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