ジューンベリーに忘れ物

シンボルツリーはジューンベリー
どこかに沢山の忘れ物をしてきた気がして

できることをする

2020-09-26 16:45:02 | 思い
 『時のひと』は、苦労して大学を出た後、
地縁も血縁もないまま政治の世界に飛び込んだ。
 そして、一国のトップリーダになった。
政治姿勢は別として、「凄い!」。

 次元は違うが、地縁・血縁がないと言えば、
丁度10年前、伊達への移住を決めた私も同様だ。
 何とかなると、自分を信じた。

 動機をひと言で言うと、
「40年間の教職生活を一度リセットしたくなった」から。
 だから、特段、新天地は伊達でなくてもよかった。
私の直感がここを選んだ。

 一度決めたら、引き返せなくなった。
土地を購入し、家を建てる段取りが、
トントン拍子どころか、『ドンドン』進んだ。
 まるで、誰かに背中を押されているよう・・。
そんな気がした。

 そして、「結果、オーライ!」だ。 
大きな期待をしなかったからか、
住み始めると、心が弾んだ。
 四季の素晴らしさと共に、
それまでとは違う新しい驚きが待っていた。

 ウオーキングではなく、少し見栄を張ったジョギングが、
マラソン大会参加へ導いた。爽やかな達成感を知った。

 ゴルフは冬場がクローズだからと、
春から秋までは毎週のようにクラブを振り回す。
 その都度、爽快感を堪能する。

 ネットに接すると、近隣の方々が頻繁に情報発信をしていた。
つい「私にもできそう!」。その気になった。
 その想いが、今日までブロクを通して私を綴らせてくれている。

 そう、伊達での暮らしを十分謳歌している。

 「それなのに!」。
若い頃読んだ小説の一節が、いつも心をよぎった。

 『定められた条件の中で、精一杯自分のできることをする。』

 平易だが、難しいことのように思え、
長年、大切にしてきたフレーズだ。

 マラソンも、ゴルフも、ブログもいい。
だが、あの一節は私自身だけを満たすことに、
向けられたものではない。
 わずかでも、誰かの何かの為に、
『できることをする』ことも指しているに違いない。
 その上、「定められた条件の中で』と、背中を押す。

 今、向かっていることがある。
それは、『自主防災』の取り組みだ。

 昨年度、地域の自治会に『自主防災本部会議』ができた。
その組織で、庶務的役割の「防災リーダー」を務めることになった。
 今の日々に、それが加わった。

 年3回の会議だが、
その都度、協議事項の資料づくりをし、提案した。
 そこで決まったことを進めるのも、私の任だった。
 
 最初の務めは、市役所から防災助成金を受け、
防災資機材を購入すること。

 その助成金を含め、わずか40万円の予算だが、
それでも、2度も会議が必要だった。

 防災資機材のカタログを取り寄せる。
ネットの通信販売を探す。
 そんなことから始め、
わずかな予算でも、有効な資機材は何かと思案した。

 購入のメインは、
非常用発電機と車載拡声器に決まった。    
 だが、2つとも難しさに気づいた。

 まずは発電機だ。
ガソリン用とLPガス用があった。
 ガソリンは、持久年数が2年程度だった。
それに比べ、LPガスは優れていた。

 LPガス用がいい。
だが、街中で見る発電機の多くはガソリンを使った物だ。
 その上、LPガス用はボンベの取り付けが難しいとの声が聞こえてきた。
一長一短があることを知った。
 購入に迷った。

 次に、車載拡声器だ。
災害時に使用する車は、固定できない。
 その時、使える車に搭載したいのだ。
だから、どんな車種でも取り付けできる拡声器でなければならない。

 車の屋根に、バーを取り付け、
そのバーにスピーカーを固定したものをよく見る。
 取り寄せたカタログには、バーは特注とある。
その上、どの車種にでも合うバーはないと、
販売業者から回答もあった。
 手詰まりになった。
 
 専門知識がない私が、
防災リーダーなど受けるべきでなかった。
 若干、後悔した。

 しかし、『精一杯自分のできることをする』。
その言葉が、そばにあった。

 小さな街でも、きっと取り扱っている業者がいるはず・・。
それらしい店を何軒も訪ね回った。
 そしてついに、
「2000年の有珠噴火の時、
災害物資を扱いました。ご心配なく」。
 そんなお店にめぐり会った。

 数日後、連絡がきた。
非常用発電機は、
ボンベへの取り付けが簡単なLPガス用があり、
それを勧めてくれた。
 車載拡声器は、マグネットで車の屋根に固定でき、
どんな車でも取り付けたまま70キロの速さで、
走行可能なものを見つけてくれた。

 その上、
少ない予算の現状を伝えると、値引きにも応じてもらえた。
 安堵感があった。

 勇んで、次に歩を進めた。
発電機のLPガスボンベをもとめに、取扱業者を訪ねた。
 一難去ってまた一難が待っていた。

 ガスボンベを自治会の倉庫に常備することは、
危険物を理由に難色が示されたのだ。

 「発電機を使う時に、ご連絡を下さい。
すぐにお持ちしますから。」
 それがベストだと言う。

 しかし、使うのは平時ではない。
「じゃ、災害時には優先配送をします。
それでいかがですか」。

 私は口約束に不安を覚えた。
誠実な担当者だった。
 「じゃ、何か書面でお約束をしましょうか。」
そこまで、言ってもらえた。

 その後、自治会と取扱店の間での、
『災害時優先配送』協定まで、
何回ものやり取りをくり返した。

 今、私の手元には、
自治会長と業者代表が押印した協定書がある。

 さて、今年の取り組みだが、
地域の災害弱者をサポートする手段を練っている。

 せめて高齢のひとり暮らしの方を、
無事に避難させることができたらいいと思う。
 さて、住民の理解と協力を得て、
そんなシステムができるかどうか。

 『定められた条件の中で、精一杯自分のできることをする。』
そうしようと思う。 



   もう秋桜だ 冬が近いの?!
コメント
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