nodatchのブログ

鉄道が好きな旅行作家が、取材や出版などの個人的な話を書いていきます

マルメからベルリンへ

2020-02-20 15:51:00 | ヨーロッパの鉄道
ヨーロッパ鉄道旅行写真デジタル・アーカイブス2000年夏

北欧とドイツを結ぶルートとして有名なのは、渡り鳥コース(Vogelfluglinie)と呼ばれるコペンハーゲン~ハンブルク、さらにはストアベルト(大海峡)を渡りオーデンセ、ユトランド半島経由の2つがあります。このほか、第3のルートとしてスウェーデン南端の都市マルメとベルリンを結ぶ直通列車があることは、あまり知られていないようです。現在は、ヨーロッパ鉄道時刻表(旧・トーマスクック時刻表)を見ますと、夜行列車が1日1往復だけ運転されているようですが、2000年夏に旅した時は昼間の列車がありました。オアスン海峡横断ルート開業を取材したあと、このルートでドイツに戻ることにしました。

マルメ中央駅からベルリン(さらにはライプツィヒ行き)はお昼の12時02分発、DB(ドイツ鉄道)のインターレギオ(InterCityよりワンランク下の「急行」)の客車が2両編成でホームに停まっていて、先頭の機関車だけがSJ(スウェーデン鉄道)のものでした。







列車名のクルト・トゥホルスキーは、ドイツのユダヤ系風刺作家で、ナチスを批判したことからドイツを追われスウェーデンで暮らした人だとか。ドイツとスウェーデンを結ぶ国際列車にふさわしいようです。

たった2両編成の列車は、30分ほどで港町トレレボリTrelleborg に到着。

左側の窓をのぞくと、目の前には連絡船が停泊中でした。やがて入替用のディーゼル機関車が現れ、列車の最後尾に連結、SJの電気機関車から切り離された客車2両は転線し、入替機に押されて連絡船の中に入っていきました。乗客は乗ったままです。




船内では客車から降りてもよいので、さっそく甲板からトレレボリの街を撮ってみました。



貨物ヤードは結構広大でした。
さて、出帆。ダイヤでは13時00分となっていました。ほぼ、定時だったと思います。トレレボリの街が遠ざかっていきます。さようなら、スウェーデン!

バルト海横断の船旅は4時間にも及びました。船内では食事をしたり、海を眺めたりと、のんびりした時間が過ぎていきました。

夕方、17時ころにドイツ東部のザスニッツ港に到着。上陸して、入替の後、しばしホームで待機となります。





ザスニッツは、リューゲン島という島にあるのですが、列車はいつの間にか鉄橋でドイツ本土に渡ってシュトラルズント到着。たぶん、ここで客車を増結し、ごくふつうのインターレギオに変身し、ベルリンへ向かいました。ビストロ・カフェの車内で過ごした写真がありました。

ベルリン東駅(Ostbahnhof)到着21時06分。9時間にも及ぶ長旅でしたが、充実した時間を過ごすことができました。