本日、東京国際女子マラソンが行われた。僕のレースが始まる前に注目していた事は、高橋・土佐の日本を代表するマラソンランナーの対決である。オリンピックの選考レースとなるとアテネオリンピックの金メダリスト野口みずき選手も含めて東京・大阪・名古屋の各選考レースのうち各陣営が勝算のあるレースに出走するので、なかなか日本人のトップクラスのランナーが2人以上出走する事は無いのだが、今年の東京国際女子マラソンはオリンピックの選考会に直接関係しないためか、今回は高橋・土佐両選手の対決が見られた。
東京の天気は雨、スタート時の気温が10℃前後とランナーの端くれの僕にしてみれば、今日は休みと言いたくなるような悪条件であった。レースは悪天候にもかかわらず序盤からキロ3分20秒を切るハイペースで進み、力の無い選手が1人ずつ脱落していく展開になり、20キロを過ぎると高橋・土佐の2選手に優勝争いが絞られた。レース中は先頭を走るペースメーカーの選手を除くと終始土佐選手が先行し、高橋選手がその後ろをぴったりマークすると言う展開になった。高橋選手としてみれば、今回は土佐選手に先着すればレースにも勝てると考えたので、土佐選手マークの戦法をとったのだろう。しかし、そういった高橋選手の思惑が外れ(?)、31キロ過ぎで土佐選手がスパートすると一気に差が開き始め、あっという間に40秒差が開くという予想もしない展開が待っていた。2003年の東京国際マラソンで見た先行して終盤バテバテになり交わされたというレースはあったものの、他の選手がスパートして高橋選手が離されるというレース展開は今までに見たことが無かったので、土佐選手がリードを広げた時は、僕もテレビの前で驚いた。レースは土佐選手がそのまま逃げ切り2時間26分15秒のタイムで優勝した。高橋選手は後半失速し、尾崎選手にも交わされ3位に終わった。
今日のレースは高橋選手にマークされながらも30キロ過ぎから一気に引き離した土佐選手の完勝と言ってもよいレースでした。敗れた高橋選手も今日は相手・条件が悪すぎたようでした(着順は3位でしたが2位の選手よりは明らかに内容は上です。但し、このままでは北京オリンピックは厳しいでしょう)。土佐選手の優勝タイムは世界選手権の代表選考の基準タイム2時間26分は切る事は出来ませんでしたが、気象条件・コース・レースの流れを考えると優秀なタイムだと僕は思います。多分、土佐選手が来年大阪で行われる世界選手権の代表に選ばれるのは確実だと思います。
来年は大阪で世界選手権が行われます。世界選手権は北京オリンピックにつながるレースだとは思うが、開催時期を考えると選手にダメージが残るか可能性があるので、僕がオリンピッククラスのマラソン選手のコーチであれば、ここをパスして、冬に行われる選考レースの1つでもある2年後の大阪国際女子マラソンを選択するような気がします。女子マラソンといえばバルセロナ・アトランタ・シドニー・アテネのコースは高低差があってタフなコースだったが、北京のコースはスピードを要求されるコースなので、国内選考レースであれば他のコースよりもタイムが出やすい大阪国際女子マラソンが選考会でも重要視されるでしょう。
今回の東京国際マラソンでは、土佐選手の完勝だったように新戦力の台頭はまだまだのような気がしました。2年後の北京オリンピックまでに新戦力の台頭が1人でもない限り北京オリンピックは厳しいような気がしますが、さてどうでしょうか。