どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

どっちがうまいか・・井上ひさし

2015年01月18日 | いろいろ

      <イソップ株式会社/井上ひさし 絵・和田誠/中央公論社/2005年初版>


 妻をなくした男が、姉弟に毎日、お話を届ける形式のなかの一つ。

 平凡な時代の平凡な国に平凡な王さまがいたが、この王さまは、ときどき途方もない難題をだして、家来を困らせます。

 この王さまが、城壁の外に遊びにでかけたときに、畑で鍬をふるっている子どもをみつけ、「お前は朝から何回鍬をふったかこたえろ」と問いかけます。その子は「答える前に、王さまはここまで馬で何歩きたか」と逆に問います。

 王さまが、はるかかなたの山をここまで運んで来いというと、その子は、山を乗せる船を貸してくれるなら、山を運びますと切り返します。

 さらに、王さまは、おやつに持ってきたソーセージを二つに折って、どちらがうまいかと問いますが、その子はぽんと手を鳴らし、どちらの手が鳴ったかと問い返します。

 賢い子が、王さまの難題を見事に解くというのは、昔話の一つのパターンなので、これがもとになっているのはわかりますが、一味ちがう味付けがあります。
 それは難題を解けなかったら税金をいまの2倍にするぞと脅す場面。大人には妙に実感があるオチになっています。

 昔話にでてくる難題は、ときとして首をかしげるものが多く、回答をみてもピンとこないのが多く、話るうえでは、もっとわかりやすいものがいいと思うのですが。