塩とパン/お日さまと世界をまわろう/多賀谷千恵子・訳/ぬぷん児童図書出版/1992年初版
王さまと三人の娘。
王さまが三人の娘に、どのくらい自分を愛しているかたずねると、上の二人は「神さまのように敬っております」「自分の命のように大切に思っております」と答えるが、末娘は「塩とパンのように思っています」との答え。
王さまは、可愛がっていた末娘が自分のことをそのくらいしか思ってくれていなかったのかと、烈火のように怒り、娘を森におきざりにする。
ところが、別の国の王子が森の中で娘をみそめ、結婚することに。
結婚式に招待されたお客のなかに、末娘の父と二人の姉も同席する。
宴の席には、あらゆる種類の料理が並べられるが、そのどれにも塩気がなくパンもありません。
なにか足りないと問う父親に、末娘は、塩とパンの二つこそが何より貴重なものとこたえ、これを聞いた父親が、末娘の誠意を知ることに。
他の国にもこの話型があり、シェークスピアの「リア王」の出だしにもなっているプロット。
シェークスピア劇にでてくる多彩な人物やセリフの面白さはいうまでもありませんが、筋立てという点では、昔話によくあるものも多いようです。