どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

じいじのさくら山

2017年04月04日 | 絵本(日本)


    じいじのさくら山/作・絵: 松成 真理子・作絵/白泉社/2005年初版

 今年の桜は開花宣言されてからもなかなか満開にならなかったようです。
 天気予報では明日から気温があがって、一斉に満開になるとか。
 いつもは桜が散った後の入学式ですが、今年は満開のしたで、写真もとれそうです。

 さくら山の桜は、じいじがうれしいことがあるたびにこっそりと植えたものでした。

 いまはもう大きくなってそらにまでとどきそう。
 「ちびすけ さくらみにいこう」とじいじ。おれはいつも「うん」という。
 山の道をゆっくり歩き、「じいじはすごいな」というと、じいじは「なんも なんも」

 くさやはなやむしのことなんでもしっていたじいじが、ぽたぽた雪が降った日に病気になってしまいます。けれどもじいじは「しんぱい ごむよう なんもなんも」と。

 ちびすけは雪の中の桜の木に「じいじを げんきに してください」とたのみます。雪がとけはじめると、また「じいじのびょうきを なおしてください」と、なんどもなんどもたのみます。

 やがて桜咲くころ、ふとんからでたじいじとちびすけは、桜をみにいきます。
 けれども山から帰ったじいじは、翌日にはもう、目をさましませんでした。

 おじいちゃん「なんもなんも」と、蕭々としています。

 何より圧巻なのは満開の桜の絵。「おみごと」とじいじがいうと、「おみごと」とおれもいいますが、よんでいるこちらも「おみごと」の一言です。

 おじいちゃんがなくなっても湿っぽくありません。ジーンとくる絵本でした。