どろんこハリー/ジーン・ジオン・文 マーガレット・ブロイ・グレアム・絵 わたなべしげお・訳/福音館書店/1964年
絵本といえば忘れられない一冊。わが家に残っている数少ない一冊です。
お話も色もいたってシンプンなのですが、世代をこえて読み継がれてきた一冊です。
ハリーは黒いぶちのある白い犬ですが、ハリーはおふろが大嫌い。ある日、お風呂にお湯を入れる音が聞こえてくると、ブラシをくわえて、にげだします。
道路工事をしているところで遊んで、どろだらけ。鉄道線路の上で、蒸気機関車の煙ですすだらけ。
公園でほかの犬と鬼ごっこをして、もっとよごれて。
うちに帰っても、誰もハリーときがついてくれません。ちゅうがえりや芸当をして、ハリーとわかってもらおうとしますが、それでも誰にもわかってもらえません。
はっときがついて、うえたブラシをくわえて、うちにかけこみます。
お風呂が嫌いだったハリーが、自分とわかってもらうため、すすんで体をあらってもらい、じぶんのうちって、ほっとするのですが、こちらまでほっとします。
どろまみれのハリーが、自分とわかってもらうための努力がいじらしく、とぼとぼ歩くハリーの表情もなんともいえません。
蒸気機関車や石炭トラックがでてきて、少し前の時代を彷彿とさせます。