女のたくらみ/世界の民話7 アフリカ/小澤俊夫・編 中山淳子・訳/ぎょうせい/1999年新装版
アフリカ カビールの昔話です。といってもカビールといってもピンとこないかもしれません。ベルベル族の一種族で北アフリカで、地中海文明および中近東文明をアフリカに仲介する役割を果たしてきたといいます。
身重の奥さんが肉を食べたいといっても、夫は肉をかってきたことなど一度もありません。
夫は市場で友だちにあうと、一緒に食事しようと珍しく二羽のやまうずらを買います。そして奥さんに料理するよういいます。
奥さんはやまうずらを料理しますが、わざとケーキもパンも作らず、夫にケーキかパンを買ってくるようにたのみます。
あとに残ったのは奥さんと夫の友人。奥さんは刃物を研ぎだし、友だちが何をするのかたずねると「あなたのこう丸をきりとるだけ。はじめてきた客には、そうする習わしなんですよ」といいます。
驚いた友だちが逃げ出すと、奥さんはすぐに二羽のうずらを食べてしまいます。
帰ってきた夫が尋ねると「自分で確かめなさいよ」という奥さん。
友だちをおいかけた夫が「一つだけでも残しておいてくれ」というと、友だちは「おまえが俺に追いついたら、二つともやろう」と大声をだします。
夫はうずらを食べたい一心しかなく、友人は大事なものと勘違いし、すれ違いを楽しめる話です。
グリムの「かしこいグレーテル」を思い出させますが、「こう丸」で脅すので、大人向けに話されたのでしょうか。