どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おしゃべりなカーテン

2019年07月12日 | 安房直子

 

     おしゃべりなカーテン/子どもの文学傑作選/安房直子・作 河本祥子・絵/講談社/2004年初版


 10篇のお話。目が弱って洋服つくりは、もう無理と、おばあさんが古いミシンをつかって、ちょっとしたいい仕事をしたいとはじめたのが、カーテン屋さんです。

 カーテンを作るときは

「カーテンぬのは かんたんかんたん まっすぐまっすぐ ぬえばいい

日の光よりまっすぐに 北風よりもまだはやく まっすぐまっすぐ ぬえばいい」と歌います。

 題名を並べると、このおばあさんのつくるカーテンがうかんできます。

海の色のカーテン>1986年初出
 夏。海で育った男が、海の色のカーテンを注文します。こい水色、うすい水色、黄色、薄紫、白いレース5枚を重ねたカーテンは、波の音、海のにおい、水のつめたさを感じさせてくれます。

 口をきくカーテンです。

月夜のカーテン>1986年初出
 秋。月の光がまぶししぎるからと小さな白いチョウの注文のカーテン。しっとりとして、つややかで、ふかいふかいやみの色のカーテンです。

秋のカーテン>1986年初出  
 お客のこない台風の日、仕事部屋の白いカーテンから催促されて、枯葉色、ぶどういろ、やぐるまそう色、すすきいろ、秋のゆうやけいろのカーテン55枚をつくって、お部屋のカーテンをとりかえませんかと張り紙します。

ネコの家のカーテン>1986年初出
 秋。ねこの注文で、リボンもようのカーテンをつくります。届け先は、すすき野原のにれの木のうしろです。

 ねこのお礼は、半月形のワッフルです。

歌声のきこえるカーテン>1986年初出
 枯葉のコーラスが聞こえてきます。いちょうの葉の声、かきの葉の声、もみじの声。

 翌朝、木の葉がみんな散って、庭は冬の景色です。

ピエロのカーテン>1986年初出
 ピエロが、おばあさんのつくったカーテンをのぼって、金色、銀色、すきとおった青、もえているような星をとってきます。

お正月のカーテン>1987年初出
 洗濯機のなかで、ぐるぐるまわされたり、ぎゅうぎゅうしぼられたりしたら、生きていけませんというカーテンの注文で、手洗いでお正月の準備をします。

雪の日の小さなカーテン>1987年初出
 ねずみが結婚式にかぶったレースのベールをつかって、カーテンをつくります。ねずみのおばあさんがお礼に作ってくれたのは、親指さきくらいの針さし。

 ぬかがはいっている針さしをつかうと、針はけっしてさびないし、ぬってもぬってもつかれない針さしです。

春風のカーテン>1987年初出
 赤ちゃんが生まれてはじめて見るカーテンをつくてほしいと春の野原にそっくりのカーテンをつくります。

 うめ、れんげ、なのはなのにおい、小鳥の声、小川の流れる音も聞こえてくるカーテンです。

 四季とさまざまの色。そしてにおいや音の聞こえるカーテン。
 不思議な世界にいざなってくれます。
 女性ならではの繊細さがいっぱいのお話しです。

 他の作品より少し短いので、語るにも適しているようです。   


ぺちゃんこねこ

2019年07月12日 | 絵本(外国)

   ぺちゃんこねこ/ハーウイン・オラム・文 グウエン・ミルワード・絵 ひがしかずこ・訳/岩崎書店/2018年

 

 ソフィーにかわいがられているねこのジミー。二人は遊ぶのも、いつも一緒。

 ぴかぴかの首輪に、おしゃれな服。おもちゃもたくさん。

 でも、高いビルのてっぺんにある部屋から外に出ることができず、外は、ぼんやりとながめるだけ。何日も何日も外をながめていると不思議なことがことがおきます。どんどんぺちゃんこな気分になると、見た目もすっかりぺちゃんこ。紙みたいにぺちゃんこ。

 しかし、外に出るチャンスがやってきました。コンサートにおくれそうになったソフィーがあわててママと部屋を出て行ったとき、鍵をわすれたのです。

 ジミーはそとにでるとあいたかったねこのもとへ。ねこのブランチが、町を案内してくれました。路地裏、公園、港をめぐり、レストランで一休みしたり、ねこのけんかを見物したり。

 ジミーが家につれてきのは、ふとっちょねこ、おすましねこ、ジャズねこ、ボスねこ、おくびょうねこ、ろじうらねこ、どろぼうねこ、いねむりねこ、おまけにねこなでごえの犬たちまで。

 ソフィーの家で、これまでみたことのないパーテイがはじまります。でもパパ、ママがかえってくると、ねこたちは一目散に部屋をとびだしていきます。

 このあと、ジミーの気持ちを知ったソフィーがとったのは?

 外に出られないねこの気持ちもわかりますね。でてくるねこの全部が紙のようですが、それぞれ個性的です。