世界の犬の民話/日本民話の会 外国民話研究会:編訳/ちくま文庫/2017年
豊作が予想されたある年に、狼とハリネズミが、放置された畑に大麦をまきました。
平等に分配する約束でしたが、腹黒い狼は、十枡分の大麦を自分のものにして、ハリネズミ分は一枡分を地上にばらまいたので、ハリネズミは一粒ずつ拾い上げなっければなりませんでした。
ハリネズミは分配を翌日までのばしてくれるようにたのみ、知り合いの数頭の猟犬に不平をうったえると、一頭の猟犬が、あなたを助けてあげようといってくれました。
脱穀場につくと狼は、自分には十枡分、ハリネズミには一枡分を入れます。狼が三度目にハリネズミの袋に大麦を入れようとすると猟犬の鼻先が見えます。
すると狼の態度がころりとかわり、大麦を平等に分けはじめます。
このときから狼とハリネズミは仲間になることはありませんでした。
どこの国にも昔話は存在しますが、あまりモロッコのものをみたことがありません。
カンガルーの子どもにもかあさんいるの?/エリック・カール:作・絵 さのようこ・訳/偕成社/2000年
エリック・カールさんの独特の風合いの絵がいい味を出しています。
「○○の子どもにもかあさんいるの?」ではじまります。
ええ、もちろん○○の子どもにも かあさんは いるわ。あなたとおなじよ。
○○にはカンガルー、ライオン、キリン、ペンギン、はくちょう・・・・と続いていきます。
子どもにおなじみの動物が出てきますから、素直に受けとめてくれそうです。
「どうぶつのおかあさんは とっても子どもを かわいがるわ。あなたのかあさんが、あなたをかわいがるのと そっくりおんなじよ」
おかあさんの愛情がたっぷり感じられます。でも、子どもも おかあさんも描かれていません。動物の親子だけです。