どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ガリバーの冒険

2019年07月03日 | いろいろ

 

   ガリバーの冒険/ジョナサン・スウィフト・原作 井上ひさし・文 安野光雅・絵/文藝春秋/2012年

 

 子どものころのかすかな記憶がある「ガリバー旅行記」ですが、この初版は1792年。200年以上も前です。

 小人の国や巨人の国がでてきたように思いますが、この絵本は小人国に限定されています。

 ガリバーが語りかける形式で書かれており、読みやすくなっています。

 となりの国の軍艦がせめてくると、あっというまに敵の軍艦を捕獲してしまったガリバーに、ごほうびに服をつくると、国の貯金が全部なくなってしまいます。その上、国中の食べ物を全部食べてしまったガリバーでしたから、迷惑きわまりありません。

 王様は国中の船大工を集めて、ガリバーが乗れる大きさの船を作り「ずっといてもらいたかったが、なにしろ 君は大きいからね。まあ 悪く思わないでね。」といいますが、ガリバーも「別になんとも 思いませんよ。それじゃ、王様さようなら。」と理解があって さっぱりしています

 子どもころ、一度はこびとに思いをめぐらしたこともあるのではないでしょうか。こびとからみれば巨人がやってきたら便利なこともありますが、やっぱり大変です。このあたりがさらりと書かれていて納得いきました。

 国の貯金が全部なくなったというのは、井上さんらしい表現です。

 安野さんのあとがきには、1969年に発刊された本の存在をわすれており、絵を描きなおしたとありました。井上 ひさし(1934 -2010)さんが亡くなられて、これまでのものが、見直されて出版されたようです。

 文藝春秋の絵本というのもはじめてかな?