どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

かわうそモグ

2019年07月20日 | 長谷川善史

      かわうそモグ/文・小森香折 絵・長谷川善史/BL出版/2019年

 

 かわうそのモグが娘にばけて のりこんだのは、おいしそうなウナギのにおいがする「うまいウナギ屋」。

 というのも兄のアオメがとったまるまるふとったフナを食べようとすると「食べたかったら自分でとれよ。おまえにつかまるウナギは いないだろうけれどね」と馬鹿にされたこと。

 川に飛び込んでウナギをさがしますが、いくらさがしてもウナギはみつかりません。そのとき人間の声がして「いやあ、きょうの山越えはきつかったな。ウナギでも食べて せいを つけましょうか」と、話していました。

 「人間の町には、ぜったいに近ずくな」とアオメにいわれていたのですが、モグは、人間のやつがウナギをよこどりしてるんだと、娘にばけてウナギ屋にいきます。

 ところが、ウナギ屋の若旦那が、ウナギの入ったかめをひっくりかえしてしまったから、さあ大変。 

 ウナギがシュルシュルにげまわり、つかまえることができません。

 「まかしとけ」とモグは、調理場にとびこみ、はっしはっしとウナギをつかまえ、かめにほうりこみます。そしてモグの口にはたっぷりとつばがわいて、がまんできないとウナギをぼりぼり食べはじめます。

 ところが着物のすそからしっぽがぽろり。正体がばれて網でつかまえられてしまいます。

 かわうそを買っていったのは人相の悪い男。味噌鍋にされそうになりますが・・・・。

 男がにまりと笑って、鉈をふりあげるシーンは、ちょっと怖い。

 キツネがばけるのは、多々ありますが、かわうそもばけるんですね。けれど影はかわうそのまま。

 いじわるそうな兄ですが、危機のときは弟を救ってくれるやさしいお兄ちゃんです。