世界むかし話 東欧/松岡享子・訳/ほるぷ出版/1989年
タイトルは物語の入り口。「皇帝の玉座でうたをうたったオンドリ」は、読んでみようかと思わせてくれるタイトルですが、オンドリがうたうことはありません。
わけあって「皇帝の玉座」にいくというオンドリが、キツネ、オオカミ、水のつまった皮ぶくろ、ハチとともに、皇帝のところにでかけます。
「このオンドリめが玉座にのぼり、うたをひとふしきかせもうそう!」といわれた皇帝は、オンドリを気の荒いオンドリとけんかっぱい七面鳥のむれ、アラブ馬、火、自分のおしりで押しつぶそうとしますが、いずれも失敗。
オンドリは羽根という羽根に金貨をつるして、おじいさんのところへ金貨を持ち帰ります。
なぜ? そんなことができるの?といった疑問をもつと、昔話は理解しにくくなります。
オンドリが皇帝のところにでかけるのは、じいさんから卵を持ってこないと殺すといわれたこと。それも、メンドリが生んだ卵を、おばあさんが じいさんに くれなかったことでした。
「くたびれるよ」といわれても「いいや、くたびれんさ」と、同行したキツネも、オオカミも 皮ぶくろも すぐに くたびれて オンドリのつばさの下にはいって 歩いていきます。キツネやオオカミが つばさの下にはいるというのは、どんなイメージでしょうか。
皇帝がおしりで、オンドリを押しつぶそうとしたのは、類似の昔話にはみられません。
じいさまに 卵をあげることを断ったばあさまの末路は、メンドリが 小屋のひさしから落とした重い包丁で、あっというまに死んでしまうというものでした。