岐阜のむかし話/岐阜児童文学研究会編/日本標準/1978年
極楽にいくのは、たいへんな話。
朝から晩まで「なんまいだあ、なんまいだあ」と念仏をとなえていたおばさん。
ばあさんが亡くなって、赤鬼と青鬼に手を引かれ、えんまさまのところへいってお裁き台の上に。えんまさまは鏡を持っていて、その人が生きているうちにしたことが映って、それで地獄か極楽いきかを告げていた。
ばあさんは、念仏をいつも唱えていたので、当然極楽いきかと思ったら、えんまさまは、「ほい、じごーく」と大声。
不満の思いが鏡に映っていたが、赤鬼と青鬼が、念仏ばあさんが生きちょるうちにとなえた なんまいだ、なんまいだをあおぎだすと、あとからあとから風にあおられ、残ったのが二つ。
ひとつは、大地震のときとなえた一枚、もうひとつは雷が鳴った時の一枚。
えんまさまのお裁きは、「自分が助かりゃええと思ったんじゃろ。それで地獄や。」
えんまさまがもっているのは帳面というのが多いのですが、鏡というのははじめてです。