子どもに語るアジアの昔話5/アジア地域共同出版計画会議企画 ユネスコ・アジア文化センタ・編 松岡享子・訳/福音館書店/180年初版
先の王さまが亡くなり、若い王子が新しく王位につきますが、父王の死を悲しんで、政務をおろそかにするので、大臣たちが相談して総理大臣を王さまにすべく策略します。
一方総理大臣のたくらみなど何一つ知らなかった王は、宮殿の外で、「知恵を買う者ものはいらんかね」とさけぶ物売りの女の声を聞きます。
女は杖にすがって、髪の毛が白い、ひどく年とった女でした。
老婆が言うには「ねているよりは、さめているがよし。 よこになっているよりは、すわっているがよし。 すわっているよりは、立っているがよし。 立っているよりは、歩くがよし。」というのでした。
銅貨一枚で知恵を買った王さまは、じっとしていられず、古い着物を身に着けると、こっそり宮殿をぬけだし、夜のやみのなかへでていきました。ここで三人のどろぼうにであい、仲間にはいります。
王さまに、総理大臣のとこには金目のものがどっさりあるだろうといわれた三人のどろぼうは、総理大臣の家に。
総理大臣は、王さまになるべくほかの大臣たちと会合していましたが、一番目のどろぼうが特技で。みんなを眠らせてしまいます。
二番目のどろぼうは、鍵をあけるのが特技、三番目のどろぼうは、犬をだまらせるのが特技。
どろぼうたちは金目のものをあつめますが、王さまがみつけたのが、何やら重要そうにみえる紙切れ。そこには「王は、位を放棄せねばならぬ!」とありました。王さまは、総理大臣が王位を覆そうと、はかっていたのを知ります。
王さまは三人のどろぼうに、羽根を一枚づつわたし、頭巾にさしておくようといいます。そして自分の頭巾にも同じ羽根をさします。
次の日、謁見の間に姿をあらわした王さまをみて、大臣たちはおどろきます。これまでは一度も謁見の間に姿をあらわしていなかったのです。
ぬすみを職にしているものが三人いるからと、国中の人々を宮殿に集め、頭巾に羽根をさした三人を牢へ放りこもうとします。
しかし、どろぼうは、もうひとりどろぼうがいると申し立てます。王さまは一枚の羽を自分の頭巾にさして、総理大臣に紙切れを見せて、断罪しようとします。
けれども、王が政務をおこなおうとしなかったので、なんとかしようと考えたという、総理大臣の理由をきいて、これまでの態度を反省します。
自己本位では、立派な王さまになれません。政治家も見習うべきでしょう。政治家が自分を見つめなおすきっかけは、なんでしょうか。
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